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「宅配事業:商品管理」に関する監査① [5-監査事例]

ここからは少し実際の監査の事例から、個別の問題についてご紹介します。かなり際どい問題も出てくるかもしれませんので、肝心な部分ではぼかしてしまう事にもなりますがご容赦ください。

 

まずは、宅配センターの監査からの事例です。

 

宅配事業(共同購入事業)のセンター監査では、「商品管理」は重要なテーマです。ほとんどの生協で、宅配事業は、受注・仕入・仕訳・物流・配送・請求までかなり高度なシステムが構築されました。私が生協に入ったころには考えられないほどの変化です。

 

当時(35年前)は、注文書は手書き作成で、班単位で回覧し、当番さんが班の注文数を集計し、注文書を提出。担当者はそれを集めて、コース単位でセットして集計のパートが1枚ずつ集計し、発注書に仕立てて物流部へFAX送信。物流部では各センターから送られてくるFAXを集計し、メーカーごとに発注書を作成していました。ここまででも多くの人の手を掛けていました。ですから、当然ヒューマンエラーも多く、今では考えられないくらい発注訂正も起きていました。

次に、各メーカーから受注に基づき、センターへ納品され、物流担当者は「倉庫担当」と言われ、納品された商品の数量を点検し、日別に仕分けし、パレットごとに分けていました。それを、物流パートの皆さんがコース出庫表に基づき仕訳し、コースに出庫されたものは配達担当自身が点検し、配達しやすいように組み直し、トラックに積み込んでいく。・・書き出すだけで大変な作業の積み重ねの上で、1日の配達が始まるわけです。

そして、配達はほとんど「手おろし」作業でした。注文数を組合員の方に読み上げてもらい、一つ一つ商品を手渡ししていたわけですよね。こういう原始的な(当時はかなりこれでも画期的でしたが)作業で配達は進んでいて、150万円から80万円くらいの供給高でした。

もちろん、集金はすべて現金。荷卸し後に当番さんから現金を受け取り、勘定して領収書を切って現金カバンに収める。すべて無事に配達できれば、センターに戻って現金を数え、供給日報(商品部類ごとの供給高を計算して記載)を作成し、上長に提出。配達ミスがあれば、すぐに連絡し、時間外でも届け直しを行っていましたね。現金誤差があればすべての班に再確認の電話をかけますし、不明となれば、現金誤差報告書(始末書)を提出、ひとしきり怒られた後、次の日の準備・・・。今では考えられないほどの作業量とサービス残業です。

だいたい、朝は7時半くらいに出勤し(就業時間は9時ですが)、帰宅するのは夜9時や10時はざらでした。その上、早朝牛乳配達があれば、朝4時には起床という状態で、睡眠時間以外はほとんど仕事でしたね。それでも、40年くらい前はそれが問題になる事はありませんでした。職員の平均年齢もまだ30代に届くかどうか、若い事はいろんなことがクリアできるんですね。

 

こんな事を思い出してしまいましたが・・本題に戻ります。

 

以下は、私が宅配センター監査の際に使用したワークシート(商品管理領域)です。

 

1)

●規程・基準・手順
・イレギュラー供給(追加・返金)や回収品の管理、サンプル商品に関する管理ルールが明示されているか(文書化・教育)。-業務規程・手順

2)

●リスク評価
・商品供給に関わる不正・ミスのリスクは認識されているか?(返金処理額は推定2000万円以上)
・商品サンプルの不正使用リスクは認識されているか?

3)

●統制・管理体制
・供給管理に関する管理責任者は?
(副長・事務・物流担当等の権限と決裁・点検体制)

4)

●運用(1-イレギュラー供給(当日加減算処理)
・供給額・返金額、消費税計算等でミスは防止されているか?
・欠品や誤配・回収措置等は不正防止視点で管理できているか?
*モバイル運用による手順変更と改善効果は出ているか?

5)

●運用(2-良品返品管理
・返品商品の区分管理と数量(実態)確認はできているか?
・東海への返品処理は適切か、フードバンクは活用されているか?
・内部供給の際の手順と管理は適切か?

6)

●運用(3-サンプル管理
・景表法に基づき「サンプル」の表示が適切に実施されているか?
・在庫管理の手順はあるか?
・不正使用を防止する仕組みはあるか?

7)

●監視・モニタリング
・供給管理・商品管理に関して、管理者は報告ラインを持っているか?(日報や週報・月報の運用)

8)

●不適合管理
・供給管理・商品管理に関するミスや不適合が発見された場合、是正・改善まで含めた報告を関係部署へ行っているか?(事業支援部・経理部・連合等)

9)

●是正・改善:違反・問題発生後の是正・再発防止策の有効性
*報告書記載の「是正・改善」に具体性と有効性があるか?
*報告書に基づき適切に実施されているか?

10)

IT対応
*「KISS」運用は適切か?

 

固有の用語も含まれていますのでわかりにくい所もあると思いますが、項目全体の構成は、基準や規程の確認、リスク評価、統制管理体制、運用、監視モニタリング、改善(不適合管理)の要素で、PDCAサイクルの確認ができるように組み立てています。

 

少し、長くなりましたので、実際の内容は、次のブログとします。


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