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BCPについて考える [6-雑感・いろいろ]

先日、職場で「防災訓練」の研修がありました。

毎年、2回定例で開催される研修です。
今回の研修テーマは、「BCP(事業継続計画)」についてでした。

以前の職場(生協)でも、この手の研修は何度か行われ、実際、BCPについて具体的な計画策定プロセスについて、内部監査としても検証に携わっていました。
福祉分野での取り組みについては、殆んど門外漢であり、真面目に内容を学ぶ姿勢で受けました。


研修の冒頭は、厚労省が作成した「福祉分野におけるBCP」のVTR学習でした。その後、現在、私の勤務する事業所で整備されている「マニュアル」の検証を行いました。
現在、重要なポイントとなっているのが「感染症発生におけるBCP」で、コロナ感染が広がる中、どういう対応が求められるかを話し合い纏めました。当然、大規模災害におけるBCPについても話し合う時間はあり、緊急時の連絡リストの検証(安否確認リストの検証)を行いましたが、時間が足りず中途半端に終わってしまいました。

この研修中、私の頭の中にある疑問が浮かんでいました。

それは、該当事業所だけのBCPの議論に終始している事で良いのかということでした。

もちろん、ここの事業所でのBCPの話し合いは重要な事ですが、法人全体としてのBCPはどうなっているのか、全く把握できなかったのです。
私の働いている法人は、障がい者福祉に関する各種サービス事業を展開しています。
通所型の生活介護事業・就労継続支援B型、グループホーム、訪問サービス、地域活動支援事業、計画相談、そして私の働いている基幹相談事業など、多様な事業に取り組んでいます。
そして、それを支える職員は正規職員で100名弱、パートを含めても200人規模です。
仮に、大規模災害が発生した場合、それらすべての事業を継続する事は困難です。まずは職員が全て平常時と同様に出勤する事はできなくなります。人的資源だけでも確保は難しいでしょう。また、施設自体もどこまで使用可能かもわかりません。

滋賀県は海に面していませんから、東日本大震災のような「津波」被害はほぼ想定されていません。

一方で、北側の福井県には、原子力発電所が並んでいて、放射線による被害が想定され、緊急避難という事態が想定されています。
否応なく、事業継続は困難になるわけで、利用者(障がい者)の避難に関して最も重要なファクターとなるはずです。自身の避難と利用者の避難、だれがどう進めていくのかはかなり大きな役割という事になります。

こうした非常事態を想定した時、何を残し、何を捨てるか、どこに限られた資源を集中すべきか、そういうBCPの基本的なスタンスが明確になっていないと、それぞれの事業所が限られた職員の奮闘で維持することになり、総体的にはバラバラに動いてしまって、崩壊してしまうはずです。
原子力被害による避難は特別な事態と考え、オプションとして整備しておく必要がまずは必要でしょう。
それ以外の、大規模災害(豪雨による広範囲の水害・地震災害・強大な台風による甚大な被害等)や、コロナをはじめとする感染症発生の事態といったケースごとの想定ヲ行ったうえでBCPを考えてみたいと思います。

ここからは、私見ですが、まずは、グループホームの維持が最優先。そこは、人が暮らしている場所であり、中には、自立して暮らす事の出来ない人が暮らしています。命を繋ぐための事業として最重要拠点であるはずです。
更に言えば、通所型サービスでは、自宅(家族)で暮らしている方が多くを占めており、開所せずとも暮らしていける方が居られます。こうした、命の維持という視点で、継続(復旧)すべき事業の軽重を、まずは法人が示したうえで、人的・物的資源の集中を図る事が重要ではないかと思います。
そういうプランのもとで、タイムラインを設定し、通所の人的資源をグループホーム維持へ注力する形で整備し、法人全体のBCPを組み上げることが必要だと考えます。

そういう考えをベースにすると、私の勤務する事業所は何をすべきかがもっと明確になると思います。
私の勤務する事業所は、行政委託による「基幹相談センター」です。
日常的には、市内の事業所の協議体の運営も任されています。
その任務を考えると、大規模災害が発生した時、市内の事業所の状態(BCP運用状況)の把握や、人的物的資源を俯瞰して、市内事業者の協力支援が円滑に進むよう業務遂行する事が求められるのではないかと思います。
情報収集や支援体制の確立準備、中には、避難や移動に関する調整といった機能も求められるはずです。こうした事を想定して、日常的に何をしておくかをもっと深める必要があるように思いました。

残念ながら、厚労省のVTRでは、そうしたところまでは踏み込んでいませんでした。(そうしたことを期待していませんでしたが)

福祉に携わる職員は、命をもっとも重視し、そのために粉骨砕身される使命感の高い方が多いはずです。だからこそ、福祉法人経営者層は、適切な価値判断と確かな理論に基づいて、しっかりとした計画と指示を出せるよう努力していただきたいと思います。

ちょっと話がそれてしまいました。
極論を言えば、BCPとは、何を捨て何を生かすか、その基準は何かを組織の中で一致させておくことなのです。
大規模災害発生時には、指示系統が整わない状況も充分に想定されます。もちろん、そのために、あらかじめマニュアル整備をしておくことは重要ですが、もし、マニュアルに想定されていない様な事態が起きたとしても、法人としての基準・価値判断が明確になっていれば、充分に事業の継続は可能になるはずです。
そうした議論や研修を日常的にしっかり行っておくことこそ、重要だと考えます。

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事例検討会から [6-雑感・いろいろ]

本日、勤務している相談センターで、月1回の事例検討会がありました。
前回は私が事例を報告し、相談員で深堀していただき、支援の方向について検討しました。
こうした検討会では、「困難な事例」が用意されます。
詳細は、守秘義務もある為、掲載できませんが、「知的障害で、発達障害の疑いのある方」の事例でした。
基本的に、障がい者の人権を尊重し、本人の意思決定をベースにした、有効な支援策を考える事が目的の検討会ですから、答えに辿り着くことは相当難しいものです。今回の事例でも、これまで10年以上の支援を継続してきた方でしたから、様々なサービスの利用や支援をやりつくした感は否めませんでした。
私は、この世界に入って経験も浅く、ほかの相談員の知識と経験には及びません。じっと皆さんの話を聞いているところでした。
今回、なにをお伝えしたいかというと、「こういう閉ざされた世界で、同種の経験者が集まって、検討(会)をする事の有効性」についてです。
相談員の皆さんの意見を聞いているうちに、だんだん、違和感を覚えました。
今回の事例の方は、地域で様々なトラブルを引き起こし、福祉サービス事業所としても手を焼いていて、言わば、たらいまわし状態にあることが最大の問題でした。
本人の障がい特性を理解すると、トラブルの原因・要因は容易に想像できます。社会とのかかわりを持つ事でトラブルを生んでいて、本人の障がいを理解をしていない人にとっては、途轍もなく問題な存在です。

相談員は皆、社会とのかかわりを持つことが、人権の尊重であるとの認識で支援策をひねり出そうとします。しかし、それが本当に重要な事なのかと考えてしまいました。
支援者以外の「一般の人」には、その人の存在は、トラブルばかり起こす「迷惑な存在」でしかないはずです。(ちょっと言葉が荒っぽいのは赦してください)

ということは、「迷惑な存在だ」と思っている人と、無理にもかかわりを持つ事を志向する事になりはしないかと思ったわけです。
正解はないでしょう。
ただ、同じ職務でいる人が集まって行う事例検討会には限界があるのではないかと考えます。豊富な知識と経験で正しい道を見つけるプロであるとは思いますが、同じ思考方向が生み出す限界や危険性を十分に認識しておく必要があるように思います。
「ケース検討会」という会議が時折開催されます。特定の障がい者への支援者が集まって、支援策を検討する場ですが、それには、様々な立場の人が参加します。社会福祉士や保健師、看護師、行政職員等の専門的立場の人もいれば、地域の民生委員や懇意にしている方といった立場の方も参加されることがあります。
こうした会議では、様々な角度から問題を掘り下げることができ、公的サービスだけでなく、人のつながりをベースにした支援も結論として得ることがあります。

福祉の現場だけでなく、企業でも、多様な立場から参加した協議の場は有効性が高いのではないかと考えます。

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PDCAについて考える [7-マネジメント]

ことが上手く運ばなくなった時、どうしますか?
一度、振り返って、その原因を探り、原因を除去して,再開しますね。
至極当たり前のことです。
マネジメントの基本、PDCAの「C/A」・・チェックとアクションです。
では、チェックはどうすれば良いでしょうか?
いろんなアプローチはあると思います。


単純なプロセスなら、スタート地点から時間を追って、手順と実際の作業とを比較して、ミスにつながったところを見つけ、そこからやり直すという事が有効でしょう。
私は、PCを使って、データを整理したり、報告書を作成したり、Webサイトを構築したりする仕事が多いのですが、成果物に辿り着く前に、想定通りに進まない事があります。こういう単独の作業プロセスなら、手順(アプリの操作手順)のどこかで手落ちがあり、そこまでさかのぼることで回復するという経験が多いです。


組織的なプロセスなら、人・モノ・金・情報・場所の要素で、計画時の設定と比較して、不足を補い、再開するという事が有効でしょう。

これは、マネジメントの管理者が最も使うチェック方法です。目標達成型・成果達成型のプロセスでは、そのプロセスに必要な、人材・資材・技術・情報・施設などの条件とそれを維持するための資本(資金)がどうだったか、有効に活用できているかを評価し、不足・不備があればすぐに補充・補てんして、目標値の修正を行い、プロセスを達成させることになるでしょう。


もうひとつ、大きなプロセスの一つを担うようなプロセスならば、前プロセスの成果物の評価を行い、前プロセスの改善を求め、再開するという事もあるでしょう。
これは、製造など製品づくりにおける手法です。前プロセスの成果物の精度が次のプロセスの精度に大きく影響する場合、成果物の評価(検品)を強化する事で精度向上を図ることになります。

PDCAサイクルによって、プロセスのマネジメントを適切に行い、成果を得るためには、いかにC(チェック)が重要かが判っていただけるのではないかと思います。

さて、ここからが本題です。

私は先日、ある企画の実行委員会へ参加しました。実行委員会には、様々な立場に人が参加していました。目標は、あるコンサートを成功させるというものでした。初回という事もあり、まずは目標や予算、開催意義などを医院で話し合いました。すると、当初の開催意義から大きく変わり、私の団体が参加する意義・役割が希薄になってしまいました。その点を指摘したのですが、主催者はあやふやな状態で会を終了させました。
市民団体では、こうした事はよくある事でしょう。
問題は、その後です。次の実行委員会開催の案内がなく、終了して連絡があり、「なぜ欠席したのか」となじられました。開催する事さえ不明瞭な終了をしておきながら、こちらをなじるというのはちょっと納得いきませんが、それは我慢してお詫びし、次回の日程を確認しました。
少し不安だったので、当日、開催の確認をしたところ、都合がつかず開催できないという返答でした。
実のところ、初回の委員会で、開催意義が大きく変更されてしまい、私の団体が関わる意味がなくなったことを告げると、「偉そうなことを言うな!何者のつもりだ!顔も見たくない」などと更に厳しい言葉でなじられました。
いやはや、困ったものです。
主催者は、古くから福祉活動に熱心に取り組まれていた方でしたが、ここ数年、事業が上手くいかず、NPOを解散されていました。かなりのご高齢でもあり、様々なトラブルも耳にしていた方ですが、これが実際のトラブルなのかと少し納得した次第です。
人をなじるのは、相当のエネルギーが必要です。それはそのまま、自分に返ってきます。
ご高齢で人生経験がおありの方なら、それくらいな心得ておられるように思いますが、それはそれは、厳しい言葉でした。
この実行委員会は、うまくいくでしょうか?
主催・代表の方が、セルフマネジメントも出来ない方では、会全体のマネジメントもおぼつかないのではないかと感じました。
上手くいかない原因を他人のせいにするような発想では、きっと今後もトラブルが続くように思います。
関わられている方には、同情いたします。
個人の名誉のために、それと判るような内容は伏せておりますので、私の主張がどこまで皆さんに伝わっているかは判りませんが、市民団体であろうが会社組織であろうが、一つの事を成し遂げるためには、適切なマネジメントシステムが必要です。
トップに立つ人・会を率いるような人には、特に、セルフマネジメントをしっかり身につけていただくよう、願ってやみません。そうでないと、巻き込まれる市民、会社の社員は、たまったもんじゃありません。

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