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BCP作成を通じて考えたこと・・つながることの重要性 [7-マネジメント]

地元の「障がい者支援協議会」でBCPフォローアップ意見交換会を開催しました。
能登半島地震のDWAT活動の報告やBCPの重要性について報告があったあと、入所系(施設やグループホーム)・通所系(デイサービスや作業所)・訪問相談系に分かれて、それぞれの事業で先行してBCPを作成した事業所から、作成経緯や苦労した点など報告をした後、質疑や悩んでいる事などを話し合いました。


 

入所系では、以下のような課題や問題点が出ていました。


❶利用者も含めた「BCP訓練」ができるかどうか不安


❷具体的に動けるような「マニュアル」をどう作れば良いか


❸施設内安否確認作業中に「救出が必要な人が見つかった時」、どう対応すればよいか(安否確認作業が優先?)


❹被災後の外部からの応援者への指示書の必要性


❺原子力災害への対応不安(移動などの課題)、


❻備蓄品の量と確保のための費用の問題


 

通所系では、以下のようなポイントが出ていました。


❶少人数事業所では、BCPはどう作れば良いかわからない


❷地域全体が土砂災害危険地帯で、安全ゾーンの設定ができない場合どうするか


❸職員の参集基準(少人数でどうしようもない場合がある)


❹備蓄品のための予算捻出が難しい


❺安否確認の方法と対象をどうすれば良いか


❻自ら被災者となっている場合、何ができるのか


 

訪問・通所系では、以下のようなポイントが出ていました。


❶安否確認を進める際、他の事業所と重複することがあり、調整しておく必要がある。(法人内・地域全体での名寄せ作業)


❷市全体でタイムライン(発災からのフェーズ設定)を統一しておくべきではないか


❸当事者(障がい者・ご家族)からの発信を強めるにはどうすれば良いか


 

作成に着手していく中で、様々な問題が生まれていることが判りました。


各事業で共通している点では「備蓄品確保」の問題でした。ローリングストックで備蓄するとしても、量の設定や予算の確保等厳しい現実があるようです。通所や入所では、食材として一定量の在庫を持たれていることから、それを災害時にどう使えるかという視点で検証することが有効ではないかと思います。


また、訪問・相談系と通所系では、発災後の「利用者の安否確認」の行動について、事前(平時)に、「名寄せ」して効率的に確認作業を進めることが重要だとの認識はあるものの、どう進めるか具体的な組み立てが必要になっています。法人内と地域全体の両面で考える課題です。


あわせて、発災後の動きとして、地域全体のタイムラインの一致も重要ではという意見が出ていました。


発災から72時間(生命維持可能な時間)や、避難所などの開設、外部からの支援開始、インフラの復旧等、地域全体のタイムラインに沿ってそれぞれが適切に動けるようにしておくことこそ重要なポイントです。市や地域の防災体制・被災後の復旧復興計画なども踏まえて考えていく課題になっています。


 


DWAT支援の報告に関して、かなり生々しい話もあり、能登地域が被災後にかなり混乱していた実態もわかりました。DWATに行かれた方は、主に避難所での支援だったそうですが、日が経つにつれて、避難所の人が減っていく中、結果的に、高齢者や障がい者が残されているという現実が報告されました。また、被災前には、自立して生活できていた方々も、被災後には、自立できなくなっている。その理由は、平時の暮らしは、周囲のつながり・住民の支えあいの中で、生活ができていたことに気づかなかったということ。避難所では、日常のつながりや支えあいがいったん立ち消えてしまい、自立できなくなっているということでした。


東日本大震災の後も、仮設住宅に入った後でも孤独死があったという報道が続いていました。今後、能登でも、同じような事件が起きないことを祈るばかりです。


倒壊した家屋や破壊されたインフラの状況ばかりに目が行ってしまうけれど、目に見えない人のつながりや地域の支えあいが奪われたことこそがもっと大きな被害なのかもしれません。


BCPにおいても、復旧・復興のフェーズで再生のためのロードマップを作っていますが、形あるものは取り戻せても、人のつながりを戻すことはかなり難しいでしょう。だからこそ、平時から、人と人、組織と組織が強くつながっておくこと。大規模災害においても失われないようなつながりを作っておくことこそ重要なのだと感じました。


つながりと強めるために重要なのは、そういう考えを発信すること。思いだけではつながりは生まれません。アクションを起こすこと。組織であれば、連携や提携の協定を周囲の様々な組織と作っておくこと、そしてそれを維持するための話し合いをしっかり行い、災害について言えば「合同訓練」などを定期的に行って互いにできることを把握しておくこと。そういう不断の努力こそがBCPの有効性を高めるものだと考えます。


 

 


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