SSブログ

カスタマーハラスメント研修から [7-マネジメント]

昨日、カスタマーハラスメントに関する研修を受けました。ハラスメントとは何か?その対処法は?組織としての対応・対策の在り方は?が大きな柱でした。
ハラスメントは「嫌がらせ・いじめ」という定義づけ、それは関係性や場面などの要素に基づいて、受ける側の判断であること。
カスタマーハラスメント=顧客からの嫌がらせという概念、当然、受ける側は職員・社員であり、その結果、メンタルの不調から休職・退職へ繋がるリスク、放置すれば組織の損害に繋がること。したがって、組織として、カスタマーハラスメントへの対処方法・・ルールなどを定めて、スタッフプロテクションシステムを構築することなどの内容でした。

一通りの内容は、それ自体、かなりまとまっていて、至極当然な内容でした。これを聞いた管理職の皆さんはおそらく、すぐにもスタッフプロテクションシステムの構築に取り組まなければならないと思われたはずです。

研修を受けた後、私なりに考えてみました。

私は、30年ほど前に、生協の品質管理室・クレーム管理課長に就いていました。その頃はまだ、ハラスメントという概念は定着していませんでした。ただ、毎日200件を超えるクレーム・苦情を受ける部署の管理者でしたから、悪質なクレーム(クレーマー)に遭遇するケースは山ほどありました。
当然、クレーマーへの対処方法は、組織内部で共有していましたし、担当者任せにせず、必ず、課長対応にするルールでした。
生協は、組合員が対象であり、基本的に、「暮らしを良くしたい」というニーズを持っている方々の集まりですから(いまでは随分様変わりしているようですが)、それほど悪質なクレーマーは居ないと組織トップ(役員)は考えていたと思いますが、現実は違います。私自身、3年間の着任期間中に、「誠意を見せろ」とか、高額な金銭の要求、「土下座しろ」とか、時には「水を掛けられる」等という、今思えば、かなり厳しい対応場面に何度も遭遇しました。
大半は、組合員である奥様ではなく、御主人のケースが多いのですが、それでも、一応の解決に至るよう努力していました。おそらく、今なら、確実にカスタマーハラスメントに認定されるでしょう。

その後、いくつかの部署を経験し、最後に、「内部監査」となったわけですが、その時、やはり、事業所の監査では、この「カスタマーハラスメント」の問題はかなり重要な項目になっていました。「不正の監査」同様、この問題も組織として重要なリスクと認識されるようになっていたので、細かく監査を行っていました。

研修会では、「スタッフプロテクションシステム」と呼ばれていましたが、要するに、組織や職員の防御策のことです。
トラブルをレベル評価し、だれがどのように対応するかを定めるということを基本に、「担当者(職員)が一人で抱え込まない」システムにするのが鍵でした。

私も内部監査の時には、同様の指摘や指導をしていましたが、少し違いました。対応の仕組みでは根本的な改善はできないからです。
重要な事は「悪質なクレーム(ハラスメント)を作らない事」です。
リスクマネジメントの考え方を用いて、小さいうちにコントロール(統制)する事こそ重要だと考えます。
今回の研修は、福祉事業に携わる皆さんが対象でしたので、ハラスメントは、利用者と家族が職員へ行う行為となります。したがって、利用者やその家族と職員の関係性が正常かどうかが重要な視点になるわけです。サービス提供の規定や基準・範囲を超えるようなサービスの要求とか、ミスや事故を取り上げて法外な賠償を要求するとか、特定の利用者を特別扱いするよう要求するなどといったことがカスタマーハラスメントになると言えます。(こうした中には、暴力行為やセクハラ、威力業務妨害に当たるような行為なども内包する可能性があります)

こういうことが起きないような正常な関係性が築かれているかを、管理者は絶えず注意しておくことが重要だと思います。
そのためのチェック体制・ルール・手順などの構築こそ重要ではないでしょうか?

カスタマーハラスメントが発生してからの対応は、事故発生の事後処理に似て、「火消し」にしかすぎません。
むしろ、火種を見つけて潰しておくことに注力すべきだというのが、研修を受けた後の私の感想です。
例えば業務日報や介護記録等に細かく目を通し、小さなトラブルや変化に注意し、対象職員から話を聞くことを習慣づければ、大きな問題になるまでに対策を取ることが可能なはずです。
事業所全体で、利用者やその家族と良好な関係性を維持できているかをしっかり見定めていくことが重要ではないでしょうか?
「カスタマーハラスメントを生み出さない」という考え方・信念を、まずは、組織として明確に示していくこと。利用者や家族に対しても、そういう点を明示して行くことではないでしょうか。

実は、今回の研修会は、「カスタマーハラスメント研修会」という名称ではありません。そういう明確な名称を用いることは、利用者やその家族に対して、事業者側が問題に感じているのだというメッセージを発信しない方が良いという判断があったためです。しかし、これこそが、ハラスメントを生み出す土壌になるのではないか。配慮と気遣いの延長上に、上下関係が生まれ、関係性に歪みが生じてしまい、「お客様(利用者)は神様です」的な感覚を職員にも植え付け、トラブルやミスを隠したり、内緒で過剰なサービス提供に走ったりして、その結果、抜き差しならない関係性を生み出すことになりかねない。危うい状況にあるように思うのですが、いかがでしょう?


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:仕事

個人情報保護に関する研修を受けて・・ [7-マネジメント]

本日、法人の「個人情報保護に関する研修」を受講しました。法人の情報管理・ITに関する顧問が講師でした。
内容は、「マイナンバーカードについて」「個人情報保護法について」で組み立てられ、30分ほどの内容の動画でした。いやあ・・残念極まりない・・このレベルの研修を行っていることで、「組織としての個人情報保護体制の充実強化」ができると考えているとすれば、恐ろしいです。
いずれも、すでに、国が出しているパンフレットを読み返す程度で、あれなら、だれでも講師ができます。それで講師料など貰っているなら、殆んど詐欺です。
講師の問題は、これに留まりませんが・・これ以上は、止めておきます。職場のほとんどの職員が不信感を持っていて、恐らく、このままでは済まないでしょうから・・。

さて、個人情報保護に関して考える時、重要なのは何でしょう?
以前にも、同様の投稿をしていますが、やはり、「リスクマネジメント」がカギです。
福祉法人では、少なからず、センシティブな個人情報(病気や障害だけでなく、経済状況なども)を取り扱っています。ですから、「正しさ」と「秘匿」は絶対条件になります。

間違った情報は、個人の尊厳・人権を蹂躙することになります。

勿論、個人情報の漏えいや紛失などはもってのほかです。悪用されるだけでなく、今の社会ではSNSなどを通じて拡散し、時に、命に関わるような事態にもつながります。

そういう危機感を持っているでしょうか?


今回の研修では、ITにおける個人情報保護の留意点が主になっていました(彼の専門がITですので)が、それは、明らかに、組織がハード面で強化すべき課題です。外部からの侵入(VPNとかセキュリティ強化)やUSBなどによる持ち出し、メールからの流出といったもので、ある種方法論であり、資金的なバックアップも必要なことを、一般職員向けに話されても、はっきり言って、危機感を持つどころか、誰に向かって話してるの?と聞きたくなります。

それよりも重要なのは、個人が危機感を持って、個人情報を扱う事であり、ミス等で漏えいが起きた時、重大な責任を負わなくてはいけないくらい、厳しい姿勢を持つことです。


研修目的が、余りにぼんやりしていて、講師であるあなたは、いったい誰に向かって何を伝えたいのかと、声を荒げて聞きたくなりました。(いけません‥また、悪口になりました)


組織で、「個人情報保護」について研修を行う目的は「職員教育」です。

したがって、研修の成果物は、個人の意識改革と、日常業務プロセスの見直しになるはずです。目的達成のために必要な要素も、「個人の危機感を高める様な問いかけ」や「日常業務に潜むリスクの発見」ということに尽きると思います。
こういう視点で、研修は組み立てるべきですし、それは、現場に近い(あるいは現場経験がありマネジメント能力が高い)人が行うべきです。
ここの法人は、専門職が大半を占めています。有資格者集団であることを前提とし、有資格者だからこそ、疎かにしがちな点を指摘すべきです。私が見ている限り、専門職だからこそ、日常的にセンシティブな個人情報を扱っているという自覚が薄くなる傾向があります。例えば、会議の後に、廊下で当事者情報を口頭でやり取りする(聞き耳を立てている人が周囲にいるという自覚の欠如)とか、机の上に、個人情報が記載された書類を放置するとか、個人ロッカーに保管している等々、そういう問題事象を自ら発見する力をつける研修こそ重要だと思います。


少し整理すると、「個人情報保護とは?」という正面玄関的な研修ではなく、「リスク・コンプライアンス違反を起こさないために」という裏口的な入り方から研修を組み立て、「個人情報保護の重要性」をしっかり胸に刻み込めるような研修をお願いしたいと感じた次第です。

「リフレーミング」してみる(ひっくり返して組み立て直す)ことも意味のあることです。

まあ、あの講師にそういうことを言ってもおそらく理解できないはずですが・・。

nice!(0)  コメント(0)