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能登半島地震とBCP③ [7-マネジメント]

能登半島地震では、災害関連死が発生している。

長引く避難生活の中で、持病の悪化、衛生環境の悪化が進み、ストレスで体調不良を起こす人も少なくないだろう。支援の手も入り始めているが、甚大な被害を前に思うように進んでいないことへ、きっと現場で奮闘されている方々もご苦労されているに違いない。一日でも早く、日常が取り戻されることを祈るばかりだ。


本日、職場で「BCP検討」を行った。

前回は2か月ほど前。BCPとは何か、我々の使命(ミッション)は何か、自ら何ができるか、などを話し合った。被害想定をリアルにしていく工夫はしたものの、今一つ手ごたえがなく、大規模災害を自分事としてとらえられないことが大きな要因だと思ったのを覚えている。

今回は、タイムラインに沿って具体的なマニュアル内容について検証した。

当初は、様々な場面を設定して検討する予定だったが、時間が十分に取れないために、「会議中、職員全員が事務所にいる設定で、緊急地震速報が鳴った」という設定で始めた。(こういうことはまれなのでできれば違う設定にしたかったが、リアル感を高めるためにやむなし・・・。)

始めるまでは、ありきたりな発言になるのかと思いつつ進めていったが、能登半島地震の直後ということもあり、職員皆、かなりリアルに想定してくれた。


あの1月1日の自らの行動を振り返りつつ、スマホの緊急地震速報を聞いて、「思わず座り込んだ」とか、「テーブルの下に逃げ込んだ」とか、「家の外へ飛び出した」とか、リアルな発言を受けて、「まずは自分の命を守る行動」について話が始まった。


事務所の机にいる状態、まずは机の下へ身を隠すこと。

「いや、机の下に荷物があって入れない」とか「机の横にある棚の転倒防止が不十分なので机の下から出られなくなる」とか、「ヘルメットが必要」とか「2面の壁に広がる大きなガラス窓が飛散して足下が危ない」とか、「そもそも、この建物の耐震基準は大丈夫なのか」など、質問と意見が飛び交った。

これだけの意見だけでも、平時に準備すべきものが発見された。


次に、「BCP」と「災害時対応マニュアル」を見ながら検証。

「発災後30分のところで、身を守って揺れが収まったら速やかに建物外へ避難」という記述なのだが、「事務所内のスリッパは危険、日ごろから、スニーカーを履くようにしよう」「ヘルメットは机の下が良いのでは」などかなり細かい点まで指摘意見が出た。検証はかなりできたと言えよう。


ただ、その中でもやもやしていたのが、「余震への対応」だった。

今回の能登半島地震でも、東日本大震災の時も、大きな余震がしばらく続いた。

最初の地震の後の余震で、家屋の倒壊が進んだというケースもあった。そう思うと、一旦建物の外へ逃げたとして、緊急対応体制に入るための環境づくりのために、事務所内の安全確保と復旧は、どのタイミングで着手すればよいのか判らなかった。


私の事業所では、市内の情報収集や事業所間の連携支援のいわばハブ機能を果たすことになっている。それと同時に、相談者(障がい者)の安否確認が使命となっている。

それに着手するためには、事務所機能の復旧は欠かせない。せめて、PCや通信機器などを取り出す必要がある。だが、建物内に入れなかった場合、どうなるのか。今回の検討では結論を得ることはできなかった。


それとともに、何人の職員がこの場に残れるのかという問題も出た。

最少人数すら確保できないかもしれないという現実もわかった。

また、9名中、2名は市外から通勤している。おそらく帰宅困難者になる。

他の職員も自宅に戻れる可能性は低いだろう。そのための必需品はどう確保するのか。

建物内に「防災ロッカー」を設置することになってはいるが、建物が倒壊すれば、それは使えなくなる。

能登半島地震の現実が、あまりにリアルすぎて、答えに行き詰ってしまったのだ。


だからと言って、何も備えをしないというのは愚かである。

必要な装備をし、より安全な場所に備蓄品を保管し、場合によっては、業務車両に積んでおくという手もあるだろう。


30分ほどの検討を終えて、やるべきことが山ほど生まれた。

防災用品・生活備蓄品、事務所機能維持のための備品等々、平時に揃えておくことができるものを一覧化し、予算化し、順次買い揃えていくこと。

おそらく、今は、能登半島地震で被災された皆様へまず必要物資が届けられるべきなので、その推移を見ながら、入手していきたいと思う。


ネットで、防災用品を調べてみると、膨大な種類の商品が並んでいた。防災士監修という謳い文句で、セット品とされたものもある。だが、中身を見ると、過不足は免れない。大事なのは、自分たちに必要なものを吟味して購入すること。特に、消耗品の類は、期限も考えてローリングストックできるものを選ぶことだろう。


以前の職場(生協)で内部監査を行っていた時、定期的に「BCPの検証」を行っていた。本部がまとめた備品一覧を基に、事業所ごとの人数に合わせて入手し、防災ボックスに入れて保管しているので、その中身を点検するのも一つの監査項目だった。

実際の監査では、かなり多くの確率で、期限切れストックが見つかる。また、使用方法を理解できていないものもある。とても有効とは言えないような実態が散見された。

その都度指摘し、管理方法を明確にする改善提案も行った。

今回、私の事業所ではそうならないよう、管理方法【点検方法】まで定めておこうと思う。


今回の能登半島地震では、「衛生管理」が大きな問題になっている。トイレが使えないという問題だ。簡易トイレは必須なのだろう。備品の中に必ず入れておきたいものだ。震災の後に、感染症発生という2次災害を生み出さないようなところまで考えなければならない。

いろいろ考える事ばかりだ。


今回の能登半島地震の推移を見守りながら、BCPを検証することは有意義なことだと言える。より現実的に、可能な方策を真剣に考えることで、次の災害被害を少しでも小さくすることができればと願う。

皆さんのところでも、今こそ、BCPの作成と検証、災害時対応マニュアルの整備を行っていかれることをお勧めしたい。

 

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