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内部監査 雑感(20180430) [6-雑感・いろいろ]

監査」とは何なのか、これは、内部監査に携わる方にとって極めて基本的な課題でしょう。

 

 川村眞一先生著「現代の実践的内部監査」の中では、以下の様に記述があります。

 

日本語の「監査」という用語は、監督検査、観察検査、監視検査、監察審査の略語であり、明治14年に制定された「会計検査院章程」第3条においてはじめて使用されたと言われている。

 

英語のAudit及びフランス語のauditionの語源は、ラテン語の注意深く聴くという意味の名詞auditusであり、ドイツ語のRevision及びスペイン語のrevisionの語源もラテン語の注意を払って再び視るという意味の名詞revisusである。

 

日本語の監査という用語は、何か疑いを持たれて、点検を受けるとの悪印象を監査客体に持たれがちであるが、西洋語の監査という用語は、相手の説明を注意して聴き、証拠を注意して視る、という意味を持っているので、自己の主張が正当であることを証明してくれるもの、として監査客体に理解され、積極的に受け入れられている。

 

 

私は以前、ある研修で、「監査」の言葉の意味を知りました。

川村先生の著書では「略語だった」とされていますが、その研修会では、一つ一つの漢字の意味を捉えて解説されたもので、川村先生よりも、何だかより納得できるものでしたので、紹介いたします。

 

まず、監査の「監」という文字。

 

これは、象形文字だそうで、「水を張った皿を上から人が腰を屈めて覗き込む姿」を現しているそうです。高い所から、皿全体を見つめ、水の様子を観察することから、「俯瞰して全体像をしっかり捉える(見る)こと」なのだそうです。

 

そして、監査の「査」の文字。

 

これは、積み上げられたもの(且)に、木(ものさし)を当てて、詳しく調べる様を表しているそうです。ものさしをもって大きさや量、品物の傷や品質を調べる事を示しており、「細部にまで目を凝らして視る」ことだそうです。

 

ですから、この二つの文字が組み合わされている事は、「俯瞰して見る事と細部まで視る事」の両方を行うことが「監査」であると考えられるわけです。いわゆる「鳥の目」と「虫の目」の両方を用いて、対象を視る事こそ、監査という事と考えることができます。

 

西洋では「注意深く聴く」(AUDIT)「再び視る」(REVISION)、東洋的には「鳥の目・虫の目で視る事」を示している点は大変興味深いと思います。

 

実際、監査では、現場視察や帳票点検といった「視る」作業と、ヒアリングという「聴く」作業の両方に注力しながら、監査の結果、全体を俯瞰した意見を「監査報告書」に残していくことになります。

 

目と耳を使い、対象をしっかりと捉える事。これが監査の基本だという事がはっきりしました。

 


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