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福祉事業の業務監査ポイント(20180410) [4-監査実施のポイント]

私のいた生協は、福祉事業所(複合型)が25カ所あり、事業区分別では40カ所以上と、監査対象としては最もボリュームがある事業でした。
居宅介護支援事業・訪問介護事業・通所介護事業・福祉用具事業・小規模体機能型サービス事業・定期巡回随時対応型訪問介護事業・訪問看護事業・住宅改修事業・障害者総合支援法に対応した事業まで入れると多岐にわたる事業を実施していました。所属する職員・パート・ヘルパー等総勢1500人以上という規模にあり、なかなか大変な監査でした。

福祉事業の監査ポイントは3点です。
1)法令順守が最優先ポイント
*介護保険制度や総合支援法等の法令認可事業である事が最大のポイント。事業を実施する為には、有資格者の適正な配置が必須であり、業務内容も詳細に規定されています。監査では、こうした法令基準を満たしていることを保証する事が第一の課題とされます。
*運営規定・重要事項説明書・体制表・資格証明・事業所加算要件書類・利用者カルテ・介護記録類等の帳票点検が必須。

〇福祉事業所は、所管する行政による「実地指導」が定期的に実施されています。法令要件を満たしているかを細かくチェックされます。そのために、各事業所管理者は、指導日前日までに、様々な書類を整理し準備しています。それでも、厳しい指摘がされます。これと同等とまではいかなくても、重要な事項は確実に実施されているかどうか、内部監査がチェックすることは重要です。

2)専門職が多く、人事・労務管理も重要ポイント
*福祉事業は、専門職に支えられ、「長時間・重労働で過酷な現場」であり、女性の従事者が圧倒的に多く絶えず人手不足が発生しているというイメージがあります。また、職員も途中採用者が多い事や多様な勤務形態・雇用形態をもっています。そのために、人事・労務管理に関する監査は重要です。
*専門職(ケアマネジャー・訪問介護等のサービス提供責任者)は、専門性が高く、完結型の仕事が多いため、長時間勤務になっても、内部で協力・補完することが難しいと考えられています。ある種「丸投げ」状態にあるとも言えます。だからこそ、勤務実態をしっかり点検し、労働基準法が守られているかをしっかり評価しなければなりません。管理者によるマネジメントが難しいからといって放置することはできないのです。

3)会計処理・保険請求事務もポイント
*供給事業と違い、収入は保険請求が中心であり、保険収入の請求や利用者からの集金等の会計処理も複雑になっています。度重なる制度改定により、基本収入だけでなく、加算や補助等も多様にあり、しっかり対応しなければ、みすみす収入を手放している事もあります。しかし、福祉現場の職員は、有資格者とはいえ、会計処理までは習得できていない(研修では収入に関する教育はない)ため、詳細を理解していないケースも多いのです。会計処理・保険請求事務に関する監査も必須です。
*保険請求は、「国保連審査」を経て入金されます。国保連審査結果(返戻・保留)に着目すると、各事業の業務ミスが発見されるため、注意深く確認することが必要です。
*会計処理上では、保険請求も行政収入も個人収入も、すべてが一旦は「未収金」に計上され、2か月から3ヶ月後に入金され処理できます。経理部門でもこうした仕組みを適切に理解できていないケースもあります。決算の正確性にかかわる問題であり、福祉事業と経理部門との連携も考慮する必要があります。


〇福祉事業の監査に関しては、もう少し、詳細に解説する必要がありますので、別途掲載します。

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