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SDGsと内部監査④ [3-内部監査参考情報]

監査の結果から、どのような指摘や改善提案ができるのかを想定してみましょう。

 

視点1:SDGsの理解

l  監査を通じ、「SDGs」自体の認識・理解が進んでいない状況が明らかになった場合。

Ø  予備調査―アンケートや現場監査の中で、事業所責任者や職員が「SDGs」についてほとんど理解できていない結果が出た。

Ø  予備調査―方針・計画において、「SDGs」の文言が見当たらない。重点課題などにも盛り込まれていない。

  最も基本的な部分として、指摘される項目だが、組織の到達点であり、トップ認識によって変わってくるもの。トップへの報告において、「コミット」を求めることになる。

  トップによるコミットが既にされている場合、組織内の周知・理解を促進するための方策を提案することになる。-教育・学習機会の強化-(視点5と連動)

 

視点2SDGsの「優先課題の設定」

l  リスクマネジメントプロセスで、17目標を考慮したアセスメントができていない場合。

Ø  予備調査―重点リスク抽出のプロセスの検証において、「17目標との関連付け」がされていない。直接的な関与が大きい項目(12:作る責任・使う責任)について検討されていない。

   リスクマネジメントプロセスの指摘。リスク評価の手法が、影響度×発生頻度による数値評価を主体としている場合、リスク洗い出しの前に、17目標とリスクの関係について共通認識を作るよう提案。

 

視点3SDGsの「目標の設定」

l  重点目標が明示されず、具体的な目標(数値・到達点など)が示されていない場合

Ø  年度方針・計画の点検やCSR推進事務局へのヒアリングを通じ、目標が明示されていない状態や、諸活動が17目標との関連付けが曖昧な状態にある事が確認できる。

  目標設定の指摘。年間目標、スケジュール計画、主管部署などの明示を提案する。(システム構築と連動)

 

視点4SDGsの「経営目標との統合」

l  年度方針・計画で、経営目標とSDGs目標とが別枠で示されている場合。

Ø  予備調査-経営方針・計画でのSDGsの明示の仕方、具体的なアクションのための予算措置の不備などが発見された。

Ø  現場監査-センターや店舗など現業部門の監査で、SDGs目標が事業所計画に盛り込まれていない事が発見された。(供給事業-12:作る責任・使う責任など)

  経営目標との統合の問題を指摘。経営計画や予算作成とSDGs目標の設定の在り方を提言。(推進体制や経費予算は重要なインパクト)

 

視点5SDGsの「目標管理の体制」

l  設定された目標に対して進捗管理できていない場合。

Ø  CSR推進事務局ヒアリングを通じ、設定された目標の進捗状況を確認できない。または、その仕組みができていない。

Ø  現場監査―設定された目標の新色状況を確認できない。または、その仕組みがない。

  目標管理体制の構築を指摘。個別の目標に対して、主管部署や実施部署などを明示し、定期的に進捗報告をさせる仕組みの構築を提案。

 

視点6:内部コミュニケーション

l  組織全体の目標進捗状況が報告されていない場合。

Ø  CSR推進事務局ヒアリングにおいて、個々の目標進捗に対して、モニタリングし、全体へフィードバックすることができていない。

  内部コミュニケーションの不備を指摘。全体の主管部署(例:CSR推進事務局)によるモニタリングと報告の仕組み構築を提案。

 

いかがでしょうか?

 

PDCAサイクルをベースにした監査指摘を想定してみました。

実際に想定してみると、それぞれの組織における「SDGsへの取り組みレベル」に関わることが判ります。おそらく、ここからの3年間程度は、視点1から4までのいわゆる組織内への[SDGsの考え方の浸透と経営目標との統合設定]が重要になるのではないかと思います。そこが明確になってくると、マネジメントシステムの構造(DCA)への展開部分で指摘と提案ができるのではないかと思われます。

 

もう一つ、見方を変えれば、内部統制システムのモニタリング評価(内部監査の主要命題)において、「SDGs」への取り組みをシステムの中で組み込んでいくことを強く指摘する事が前提条件になるのではないかとも言えます。それは、トップのコミットメントであり、中長期計画への反映に他ならないわけで、監査報告書の「総合所見」の中で、しっかりとした理論的展開が求められるはずです。

 

そのためにも、内部監査部署・担当の皆さんが、SDGsを確実に理解し、生協組織における重要性を認識する事から始める必要があると思います。


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