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SDGsと内部監査① [3-内部監査参考情報]

「持続可能な開発目標」と訳される「SDGs(Sustainable Development Goals」。一昨年辺りから、しばしばメディアを通じて報じられるようになりました。

日本生協連20186月総会でも、「SDGs宣言」が決議され、今後、生協運動において、SDGsへの取り組みが極めて重要であることが確認されました。

SDGs20159月の国連サミットで採択されたもので、国連加盟193か国が2016年~2030年の15年間で達成するために掲げた目標です。17の大きな目標と、それらを達成するための具体的な169のターゲットで構成されています。

2030年に向けた持続可能な開発に関する地球規模の優先課題や世界のあるべき姿を明らかにし、一連の共通目標やターゲットを軸に、地球規模の取り組みを動員しようとするものです。政府及び企業や市民社会に対して、全世界的な行動を要請しています。

 

「企業はSDGsを達成するうえで、重要なパートナーである。企業はそれぞれの中核的な事業を通じて、これに貢献することができる。私たちは、全ての企業に対し、その業務が与える影響を評価し、意欲的な目標を設定し、その結果を透明な形で周知するよう要請する(ハン・ギムン国連事務総長)」とされているように、国・政府だけでなく、企業や市民にも重要な取り組みであることは明らかです。

そして、それは、生活協同組合の存在意義とも通じる部分が多く、何よりも、生協陣営は最前線に立って、企業として、市民活動として役割を担う事が求められていると考えます。

 

実際、この間、多くの生協で、主に「CSR報告書」の中で、SDGsのロゴを掲げたり、取り組みごとに関連する目標を明示したりするなど、かなり具体的な報告が目立つようになっています。

一つ一つの目標を見ていくと、これまで、生協が取り組んできた活動や運動と直接的にも間接的にもかかわりの深いものばかりです。(詳細は、日本生協連・「SDGs宣言」をご確認ください)

ここからは私見で、目標についてはもっともっと深めていく必要があると思いますが、少し取っ掛かりとして述べてみたいと思います。

 

16:平和と公正を全ての人に」「17:パートナーシップで目標を達成しよう」は、協同組合の精神「愛と協同」そのものではないかと思います。

ロッチデールでは、貧困や飢餓・搾取(不平等)、教育の欠如など、労働者階級が置かれていた厳しい現状から脱却するため、一人一人の小さな力を集め、協同組織を作り、自らの発想でこれらの問題と闘ってきたわけです。そう考えると、SDGsで示した目標は、当時と何ら変わらない、いや、むしろ人類の尊像に関わるほど深刻化していることを示しているのではないかと思います。

 

そして、「12:つくる責任・つかう責任」は、まさに、消費生活の在り方や商品活動の根幹に関わる目標と言えます。

大量生産大量消費の時代が作り出した社会問題は、資源の枯渇や格差を産みだし、環境を破壊してきました。ようやく、その重大性が認識されてきたわけです。しかし、今の生活協同組合はどうでしょうか?事業経営の強化のためには、継続的に事業が拡大することが求められ、宅配事業や店舗事業では、供給をいかに伸ばすかに注力されています。そのための手法は、大量消費時代とあまり変わっていないのではないでしょうか。大量に廃棄される食品や消費財が社会問題化している中、生協の事業の在り方も検証する必要がありそうです。そのためにも「12:作る責任・使う責任」の目標は重要だと思います。「14:海の豊かさを守ろう」「15:緑の豊かさを守ろう」などの目標と併せて、くらしを見つめ直し、商品活動・供給事業の改革が求められていると考えます。

 

「7:エネルギーをみんなに そしてクリーンに」「13:気候変動に具体的な対策を」「14:海の豊かさを守ろう」「15:緑の豊かさを守ろう」などは、環境問題や産消提携活動などの取り組みそのものと言えるのではないでしょうか。ISO14001認証取得されている生協であれば、環境目標を掲げ、取り組んでいるはずです。それ以外も、生協の事業や運動の根幹をなすものと通じるものばかりです。さらに、原発問題や温暖化による異常気象の発生、中山間地や漁村の荒廃・限界集落の問題などへと通じる課題も含んでいると思います。

 

これ以外の目標も、私たちの暮らしと無縁ではなく、くらしを守り、命を守るためにも、協同組合は力を発揮すべきだと考えます。

 

協同組合が長年取り組んできた活動・事業が、ようやく世界的に共通の目標となり、政府や企業・市民が一体となって取り組むべきものだと認知されたのではないかと思えるのです。

ですから、今、生活協同組合は、より先進的にSDGsの議論を深め、具体的なアクション計画を設定し、取り組み、目標の達成へ貢献することこそ、CSR(社会的貢献)の柱になるはずです。

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