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内部監査 雑感(20180504) [6-雑感・いろいろ]

これまで掲載した記事の中で、皆さんが最も閲覧されたが「内部監査の立ち位置」の記事でした。

といっても、100にも満たない数ではありますが、それでも、継続してお読みいただいていることに感謝いたします。

 

内部監査部門の組織内の位置づけに変化はありましたでしょうか?

 

以前にも書きましたが、私が着任当初、内部監査の位置づけはかなり低いものでした。ISO(品質・環境)が、別にISO内部監査事務局が置かれていた事もあり、いわゆる内部統制領域の監査については、組織内ではほとんど認識されていませんでした。ISO監査についても、外部審査を合格するために必要という価値観が強く、かなり形式的な運用となっていました。

 

全国の内部監査交流会で、他の生協の皆さんと意見交流していると、生協によってかなり違いがあることが判りました。交流会では、多分に「トップの意識・認識に差があること」が課題という声を聴きました。「トップが内部監査の役割や重要性を正しく認識していない」という愚痴めいた発言も多かったように思います。

もちろん、「トップの意識・認識」は大きな要素だと思います。組織の統治・統制に関する考え方は、組織風土であり、生協の歴史的経過にも大きく影響します。また、生活協同組合という組織の特殊性にも起因しているとも思います。

 

しかし、様々なプロセスを持つ組織体である以上、それが統合された状態で、適正に運用されることは重要です。組合員への最大の奉仕を行うために、効率よく合理的に業務を遂行し、永続的経営を実現する事が、理事()に求められる役割です。それを保証するために、法定監査として監事監査や会計監査が実施されます。

内部監査は、組織内部にあって、理事の手足となって組織内部を監査し、業務の合理性・有効性を保証し、経営改善に寄与する役割を果たします。

 

こうした、組織運営の基本、内部統制の基本について、トップは認識されているはずですが、実態としては不十分と感じる場面は少なくありません。

だからと言って、嘆いていても何の解決にもなりません。

 

私自身、着任当初、どうすれば良いか悩んでいました。だからこそ、近隣生協の同じ立場の皆さんと交流を強め、ヒントを得たいと努力しました。そんな中で、それぞれの生協の実践内容を知り、「使える」と思ったことを貪欲に試しました。

これまでご紹介してきた、内部監査のガイドライン(指針)では、そうした近隣生協の皆さんの実践を取り入れ、自ら試し、有効だと感じたものを整理したものです。決して独自に生み出したものではありません。

 

トップの意識改革についても、同様です。他の生協で、トップとどのような関係を構築しようとしているかは大変勉強になりました。報告の在り方やその後の課題解決へのプロセスについても、近隣生協の取り組みが大いに参考になりました。

 

そうして、日々実践を積み上げて行く中で、トップの意識も少しずつ変わっていきました。

私の上司である専務理事は、当初、内部統制事務局とMS事務局と内部監査の役割の違いについては正しく認識されていませんでした。それでも、毎月、監査報告書を提出し、報告会で示唆いただき、徐々に、内部監査の立ち位置や役割、そして有効性について理解を深めていただけました。

 

前の項目で掲載した「CSA監査」では、専務理事から「センター運営に不安があるから優先的に監査を行って貰いたい」との指示がありました。そして、運営改善に向けてアドバイス(アドバイザリ)を行うように要請されるまでになったのです。

 

着任当初の状況からは大きく変わったことを実感し、さらに有効な監査に努力したいと思うようになりました。

 

これまでブログ記事では、ある程度、理論的な整理を中心に進めてきました。おそらく、お読みいただいてこられた皆さまには退屈な、判り切った内容も多かったのではないかと思います。理由は明快です。内部監査は独立的立場にあり、公正・公平を基本に、客観的証拠に基づき、理論的な正当性をもって監査結果を報告する事が重要で、そこには、余計な感情を挟むことは好ましくないからです。しかし、取り組むのは人間です。上司の期待によって、力の発揮も違ってきます。成果を評価されれば、一層努力しようと頑張ります。理屈ではないところに原動力がある事もしばしばです。

 

このブログを通じ、厳しい立場に置かれている、生協内部監査の皆さんにとって、何かの支えになる事を願ってきました。先進生協では、内部監査室が設置され、数人体制が確保されている羨ましいところもあります。しかし、圧倒的多くの生協では、一人体制や監事会事務局などの兼務体制で取り組まれているところが多く、独立的な立場さえも確保できていないところが多いのが実情でしょう。そしてまた、内部監査であるが故、組織内でのコミュニケーションが取りづらく、孤独感を感じておられる方も多いと思います。

 

そのために、全国レベルや地域単位で、内部監査担当者交流会や研究会を旺盛に開催し、日ごろの監査活動の交流を行われることを呼びかけたいと思います。実践交流の中には数多くのヒントやエネルギーにつながる情報があります。

 

生協を退職した身分でおこがましいかもしれませんが、生協組織には、他の会社組織にない「協同・連帯」という素敵な力があります。その力を発揮して、内部監査の地位向上、役割向上を一歩ずつ進めていかれることを期待しています。

また、そうした交流会や研究会開催の際には、ぜひ、私にもお声を掛けていただけることをお願いいたします。生協の外部におりますが、だからこそ、より客観的に、より自由に、アドバイスさせていただけるものと考えております。


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