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小規模監査部門の品質評価(20180508) [2-内部監査実施指針]

小規模監査部門(1人体制や兼務体制等)を前提にした、監査品質プログラムについて、近隣生協との交流会で提案した内容をそのまま掲載します。

 

実行に移すことはできませんでしたが、交流会の中で議論し、部分的に実施する中で、ある程度、有効だと確認できましたので、今後の参考にしていただければと思います。

 (少し量が多いので2回に分けて掲載します。)

 

(1)考え方

l  内部監査の品質向上のために、品質管理プログラムを策定し、実施する。その評価結果は、直属する代表理事へ報告する。

l  品質管理プログラムは、品質評価を基礎に、評価結果に基づき継続的改善ができるものにする。品質評価にあたっては、内部評価と外部評価を活用する。

l  内部評価は、自己評価となり、客観性が保証できないため、監査対象部署からの評価(個別監査評価)を基礎資料に加えることが必要である。

l  外部評価は、自組織が委託する「監査法人」や近隣生協の内部監査(ピアレビュー)を評価者とすることが妥当である。

 

品質管理プログラムとして、日本内部監査協会から「ガイドライン」が提示されている。これを参考として実施する事が望ましいが、かなり高度な内容であり、組織的監査(複数人以上の監査員配置)を前提としており、少人数あるいは一人体制での適用は難しい。内部監査基準をベースにした、品質評価シートを提供しており、これをベースに内部評価・外部評価を実施する事を推奨する。

 

 

品質管理プログラムの概念

(1)品質評価の必要性

内部監査は、独立性と客観性を持ち、リスク・マネジメント、コントロール(内部統制)、ガバナンスの各プロセスの有効性を評価し、組織体の目標達成に貢献することを目指しており、組織体の任意の活動ではあるが、自律的な行動を求められる。そのために、品質評価が内部監査部門の品質を高める動機付けとなり、結果として、組織体の目標達成への更なる貢献が可能になる。

(2)品質評価のフレームワーク

このプログラムは、内部監査部門の基準等への適合性の評価、内部監査部門の効率性と有効性の評価、そして改善の機会を明らかにすることが可能なように設計される。体系的には、内部評価・継続的モニタリング、内部評価・定期的レビュー、外部評価から構成されている。

(3)内部評価・継続的モニタリング

内部評価・継続的モニタリングとは、内部監査部門の管理業務にモニタリング機能を体系的に組み込み、継続的に品質評価を行い、改善活動を行うことである。

(4)内部評価・定期的レビュー

内部評価・定期的レビューとは、組織体内の評価者が、IIAの品質評価マニュアル(以下、品質評価マニュアル)と本ガイドに沿って、内部監査部門の基準等への適合状況を定期的に判定することである。

(5)外部評価

外部評価とは、組織体外の適格にしてかつ独立した評価者により行われる評価であり、最低でも5年に一度実施することが求められている。外部評価には、フル外部評価と、自己評価と独立した検証の2つの方法がある。

(6)品質評価基準

品質評価の基準は、構成要素の一部として基準に含まれ、内部監査部門が遵守すべき項目として定められており、①品質のアシュアランスと改善のプログラム、②評価の実施要件、③内部評価、④外部評価、⑤報告、⑥基準への適合の表現の使用、⑦不適合の開示、の7つの要素から構成されている。

■補足事項―少人数監査部門における外部評価方法-ピアレビュー

ピア・レビューは外部評価を受けようとする3つ以上の独立した組織が、お互いに評価者を提供するものである。ピア・レビューは外部評価の費用を低減する。

 

1.内部監査の品質管理プログラム()

(1)目的

内部監査の品質評価は、品質評価を行うこと自体が目的ではなく、内部監査の品質評価を通じて、内部監査部門の品質を維持・向上させることを目的としている。

(2)品質評価の体系

品質のアシュアランスと改善のプログラムは、次の3種類の品質評価から構成されており、すべてを実施する必要がある。

①内部評価・継続的モニタリング

内部監査部門の日常の管理業務に組み込み、内部監査部門の管理者が継続的に品質評価を実施する。

具体的には、個別監査実施後、監査計画・実施状況・監査報告のレビューと、監査対象部署からの監査に関するフィードバックの受領と分析、規程や手続きの遵守状況などを検証し、発見事項をまとめ、改善を行うこととする。

②内部評価・定期レビュー

内部監査部門長に任命された部門内の評価者が実施するか、または内部監査部門以外に内部監査の実務の十分な知識を持つ者が組織体内にいれば、その者に実施させてもよい。年一度の頻度で実施する。

具体的には、内部監査基準・倫理要綱(IIA基準)や内部監査規程への適合性水準を評価するものであり、年に一度、内部監査のあらゆる側面を対象に評価し、まとめる事とする。(年度レビュー報告)

③外部評価

外部の適格にしてかつ独立した評価者を選任し、最低でも5年に一度、定期的に実施する。

具体的には、「自己評価と独立した検証」の手法を用い、内部監査基準・倫理要綱(IIA基準)や内部監査規程への適合性の評価や、内部監査の有効性や効率性の評価、内部監査のベストプラクティスを適用する改善の機会を明らかにするものとする。

「自己評価」では、IIA基準を基に策定したチェック票を用いた「簡易評価方式」を採用とし、「定期的レビュー」も基礎資料に含めるものとする。

「独立した検証」は、ピアレビュー方式とし、近隣生協の内部監査部門を評価人に選定し、「標準工程表」と「標準仕様書」を用いて実施するものとする。

(4)品質評価の活用

品質評価の結果は、内部監査部門の品質の維持・向上へ活かすことが重要である。

継続的モニタリング・定期レビュー・外部評価の中での発見事項は、内部監査のベストプラクティスを適用する機会と捉え、確実に是正・改善につなげる。

また、品質評価結果は、最高経営者へ報告され、監査品質のアシュアランスと改善プログラムが承認されることを確実にする。

(5)プログラム関連文書

○標準工程表

○標準仕様書・・実施計画書・評価実施要領、予備調査書、ワークシート、評価調書、評価書

 



 まず、第1段階として、品質管理プログラムの考え方や構造をまとめました。プロセス管理の基本である「PDCA」サイクルと、結果の報告のルールなどを定めています。

 できれば、内部監査規程の中に、品質管理に関する事項を記載しておくと確実でしょう。


 次のところで、具体的なやり方に関して、品質チェックシートなどを提示します。

 


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