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内部監査の品質管理プログラム(20180507) [2-内部監査実施指針]

皆さんが実施されている内部監査は、組織や経営者にとって、充分な結果を提供できる、監査品質を保持できているでしょうか?また、年々、改善向上する仕組みを持っているでしょうか?

 

内部監査も一つに業務プロセス・システムです。

システムである以上、PDCAサイクルをもって、絶えず品質向上に取り組むことが肝要です。

 

この点について、日本内部監査協会の「内部監査基準」では、第4章「内部監査の品質管理」で以下の様に示されています。

 

 第4章 内部監査の品質管理

 

第1節 品質管理プログラムの作成と保持

 

4.1.1 内部監査部門長は、内部監査の品質を合理的に保証し、その品質を継続的に改善していくために、品質管理プログラムを作成、保持し、適時に見直さなければならない。

 

4.1.2 品質管理プログラムは、内部監査部門および内部監査人が当協会の定める「倫理綱要」および「内部監査基準」を遵守していることを評価できるものでなければならない。

 

第2節 品質管理プログラムによる評価の実施

 

4.2.1 内部監査部門長は、品質管理プログラムに内部監査活動の有効性および効率性を持続的に監視する品質評価を含めなければならない。品質評価は内部評価および外部評価から成る。

 

4.2.2 内部評価は、以下の事項から構成されなければならない。なお、②に掲げる評価は、少なくとも年に1回、実施されなければならない。

 ① 内部監査部門の日常的業務に組み込まれた継続的モニタリング

 ②  定期的自己評価、または組織体内の内部監査の実施について十分な知識を有する内部監査部門以外の者によって実施される定期的評価

 

4.2.3 外部評価は、内部評価と比較して内部監査の品質をより客観的に評価する手段として有効であるため、組織体外部の適格かつ独立の者によって、少なくとも5年ごとに実施されなければならない。

 

第3節 品質管理プログラムによる評価結果の報告

 

4.3.1 内部監査部門長は、少なくとも年に1回、品質管理プログラムによる評価結果を最高経営者、取締役会および監査役(会)または監査委員会に報告しなければならない。

 

第4節 「基準に従って実施された」旨の記載

 

4.4.1 内部監査が、品質管理プログラムによる評価によって、「倫理綱要」および「内部監査基準」を遵守していると認められた場合には、内部監査に係る報告書において、「一般社団法人日本内部監査協会の定める『倫理綱要』および『内部監査基準』に従って内部監査が実施されている」旨を記載することができる。

 

第5節 基準から逸脱した場合の報告

 

4.5.1 内部監査部門長は、「倫理綱要」および「内部監査基準」から逸脱していると認められた事実が内部監査の監査範囲または監査結果に重要な影響を与える場合には、その逸脱事項とその影響および是正措置を最高経営者、取締役会および監査役(会)または監査委員会にすみやかに報告しなければならない。

 

 かなり、高度な事が要求されていますが、簡単に捉えれば、内部監査においても「PDCAサイクルを持った品質管理マネジメントを行う必要がある」という事です。

 

 内部監査室として、複数人以上の内部監査員を配置し、組織的な監査が実施されているところでは、内部監査室長(部門長)の主要な業務として成立できると思いますが、私の様に「一人体制」や「兼務体制」では、なかなか難しいものです。

 

 この点に関しては、内部監査協会の「品質評価ガイド」で以下の様な補足文章があります。

 

「品質評価ガイドP92-93抜粋」

 

第4章 小規模な内部監査部門の品質評価の推進

2008年のIIAの品質評価の進捗に関するグローバル調査に参加した内部監査部門のうち、日本では67%、その他の国でも53%が、内部監査要員5人以下の小規模な部門であった。小規模な内部監査部門にとっても、品質の維持・向上の推進は重要な課題であるが、内部監査要員1~2名の内部監査部門の品質は、内部監査人個人の専門性に依存するところが大きく、規模が多少大きくなり3~5人になっても、内部監査部門長や核になる内部監査人が異動・退職すれば、その内部監査部門の品質に重大な影響をもたらす場合が少なくない。

 

したがって小規模な内部監査部門の品質の維持・向上を推進するためには、まずは内部監査人の専門性をいかに向上させるかが鍵であることが多い。

(1)内部監査人の専門性

小規模な内部監査部門に限ったことではないが、内部監査人の専門性を向上させるには、まず、自己研鑽から始めることが肝要であり、日本内部監査協会ほかから多数発行されている書籍をその参考文献として使用することが推奨される。

また、OJT(On the Job Training)により、上司、先輩、同僚から訓練を受けることも、他の業務と同様に役立つ。更に内部監査部門の管理業務に、内部評価・継続的モニタリングを組み込むことにより、内部監査人の専門性を高める体系的な指導が可能になる。

しかし、小規模内部監査部門では、部内で内部監査に関する専門教育を行うことは、人材やノウハウが限定されるなどの理由から容易ではないと推測される。その対案として、日本内部監査協会の主催する内部監査の講習会・実務演習を活用することや、内部監査の専門資格取得にチャレンジすることが有効である。

また、協会の定例的な研究会に参加し、自ら積極的に内部監査人の友人・知人を作ることを推奨したい。同じ業種や規模の内部監査部門とネットワークを持っていればなお効果的である。もちろん内部監査人として秘密の保持に差し支えない範囲ではあるが、内部監査の進め方、テーマの選定方法、報告書のまとめ方、社長への説明方法などを相談できる相手ができれば、専門性を高めることにつながる。

こうした機会を活用しながら部門全体の内部監査人の専門性を維持・向上させることが大切である。

 

(2)品質評価の推進

専門性を備えた小規模な内部監査部門にとって品質評価への期待は大きい。

そこでまず、内部評価・定期的レビューに取り組むことが推奨される。内部評価・定期的レビューの評価者に選任された者は、評価の過程を通じて基準や実践要綱の理解が深まり、後に外部評価を受ける準備にもなる。

外部評価の費用については内部監査部門の規模にかかわらず関心があると思われるが、一般的に、規模が小さい内部監査部門ほど外部評価の費用の負担感は大きいと考える。

 

そこで品質評価で先行する北米でも外部評価の費用負担を勘案し、外部評価の簡易版である「自己評価と独立した検証」を選ぶ内部監査部門がある。2007年にIIA国際本部が実施した100件の外部評価のうち、約3分の1は、自己評価と独立した検証であった。

また、日本以外のその他の国では、外部評価を公認会計士事務所や内部監査のプロバイダーに依頼せずに、3つの独立した組織間でお互いに評価者を提供しピア・レビューを実施している例が約1割見られた。これは外部への支払費用を軽減するという意味で注目に値する。

日本ではフル外部評価の実施例は少なく、かつ自己評価と独立した検証の実施例も寡聞にして知らない。今後、小規模な内部監査部門の外部評価の推進には、自己評価と独立した検証やピア・レビューの取り組みを推進することが肝要である。

これらの様々な工夫により、コストを抑えた品質評価の選択肢が増えれば、小規模な内部監査部門での品質評価への取り組みが進むと考えられる。

 

少し長い文章ではありますが、要約すると、少人数監査部門では、内部評価と定期レビューに取り組むこと、そして、ピアレビュー(同業他社3社以上)の仕組みを導入し、監査品質の評価を受けることが有効だという事です。

 

私も、一人監査体制だったため、自分の実施している監査を評価し、問題点を発見し改善することはなかなか難しく、どうしても独りよがりになっているのではないかと考えがちでした。

 

克服のために、近隣生協との交流を通じ、監査結果の相互報告を通じ、所見や指摘事項・改善提案の内容に関して、意見を聞く機会を大事にしていました。そして、これをさらに発展させて、独自の品質評価プログラムを作成するところまで到達できましたので、次のところで具体的な内容をご紹介したいと思います。

 

補足になりますが、

ISO規格(品質・環境)認証では、外部審査機関によって、ISO内部監査については、ISO19011規格に基づき、監査プログラムの策定や実施管理、プログラム改善の取り組みについて評価を受けることになりますが、それも、ISO規格(品質と環境)の領域内に限定されるものです。

 

私も、都合5回、外部審査を受けましたが、あくまで、ISO/マネジメントシステムの有効性と適合性を確認するために、マネジメントシステムに組み込まれた「モニタリング機能」の一つとして、内部監査が機能しているかの判断のための審査であり、内部監査の内容評価ではなく、プロセス評価に留まっているため、品質向上につながる内容としては、充分とは思えませんでした。(外部審査機関の力量の問題も大きいと思いますので、他の生協では有効なところもあるでしょうから、私見の範囲としてください。誤解のないよう、お願いします。)


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