SSブログ

様々な監査手法②店舗点検活動(20180502) [5-監査事例]

もう少し、監査手法のバリエーションを紹介しましょう。

 

②店舗点検活動

 これは、店舗事業部門監査の予備調査に位置づけて既に説明しましたが、もともとは、内部監査交流会の中で、隣のG生協で「品質管理活動」として実践されていた内容を学ぶ機会がありました。

 内部監査の領域がどうか悩んだ部分はありますが、使い方によっては有効ではないかと考え、取り組むことにしたものです。

 

 「店舗の売り場は業務の結果が現れる場所」です。

 企画作り・売り場作りの計画をスタートとし、発注・仕入・加工・点検・陳列の工程で売り場が作られます。そして、日々の供給状況を監視・分析し、手直し・改善されていくことで、素晴らしい売り場が維持されます。

 

 いわゆる「PDCAサイクル」の結果が現れる場所であり、組合員・来店者へのサービス品質そのものであるわけです。と同時に、食品衛生法・表示法などの法令順守が具現化する場所でもあります。

 

 そう考えると、定期業務監査で、帳票点検や店長ヒアリングを行うよりも、売り場の実態をしっかり把握することの方が、有意義な業務監査結果を導けると言えます。

 

 最初に、私が取り組んだのは、年末迎春供給前の時期(12月初旬)でした。売場は大きく転換し、イレギュラーな品揃えが増加し、温度管理・品質管理に最も注意を払う必要がある時期だからです。

 

 点検に当たっては、「利用者目線」を大事にしました。

 

 自分自身は職員であるため、小さな不備があってもある程度理解しようと努力します。しかし、利用者(来店者)はそうではありません。ちょっとした判りにくさでも、購買意欲の低下につながります。不安要素があれば手が出ません。不愉快な思いをすれば、二度と来店されないかもしれません。そういう「来店者の目線」をもって、売り場点検を行う事にしました。

 

 点検したのは、POP・プライスカードをベースに、商品表示と日付でした。

 また、日配品や水産・冷食など温度管理を要する売り場では、温度管理状態(記録)も点検しました。

 衛生管理状態を見るため、売り場の隅々の清掃もチェックします。バックヤードや加工場も点検しました。

 

 すると、残念ながら、POPやプライスカードのミスや日付管理上のミス(期限切れ)、温度管理ミスなど、多数の問題が発見されました。

 

 これらは、全て、写真に収めるとともに、問題のある商品を売場から撤去、売り場管理者への問合せを行いました。また、結果は「点検報告書」にまとめ、翌日には店長へ提出しました。

 

 初めての点検結果は、店長や事業本部にとっては驚きだったと思います。

 日常業務では適切に実施しているはず、来店者から特に意見や苦情を聞いていない等、自分たちの業務を客観的にみることができない為、概ね良好と理解していたからです。しかし、結果は惨憺たるものでした。期限切れ商品の供給が発見されたり、プライスカードが明らかに間違ったものがあったり、法令基準温度を満たしていない冷蔵冷凍ケースがあったり、ほとんどの店舗で、正常な売り場管理ができているとはいいがたい状態だったのです。

 発見された問題事象は、すぐに是正(手直し)されましたが、残念ながら、根本原因には至らず、その後年2回(夏・冬)、同様の点検活動を行いましたが、店舗全体の指摘数は減少とはなりませんでした。

 

 ただし、店舗単位では大幅に改善したところもありました。

 そこでは、職員・パート・アルバイト全員で、売り場点検活動をルーチン化し、担当外の売り場を分担し、相互チェック体制で臨んでいました。

 また、他の店舗では、店長による定期点検評価(売り場担当評価)を行う活動を組み込み、常に緊張感をもって売場管理を行うように意識改革に取り組まれていました。

 また、バックヤード在庫の大幅削減に取り組むことで日付管理の改善に取り組んだ店舗もありました。

 

 一方で、指摘事項が増加した店舗もありました。

 因果関係としては、来店者数の予想以上の減少による不良在庫の増加やパート・アルバイトの離職による体制不足といったものが背因として考えられました。こうした店舗に対して事業本部からのマネジメント指導・支援が不十分な事も問題でした。

 

 「店舗の売り場は業務の結果が現れる場所」と考えると、「問題事象はマネジメント不全の結果」あり、是正(手直し)だけでは不十分です。

 

 なぜ、そうした問題事象が生まれたのか、どのプロセスに問題があるのか、監視・モニタリングは機能しているのか等、探っていかないと、再発します。

 当初は、売り場点検活動は単独で実施していましたが、後年は、点検活動の結果を定期業務監査の予備調査に位置づけ、問題事象が多い店舗は「リスク重点対策店舗」と位置づけ、定期業務監査も売場管理に重点を置くようにし、真因追及と有効な改善策の提案につなげるようにしたのです。

 


nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

Facebook コメント