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7:監査結果の作成(20180327) [2-内部監査実施指針]

実地監査が終わると、監査の結果をまとめます。

手順は2段階。
①監査調書
監査では、ワークシートのほかにも、予備調査のデータ、現場での写真記録等、様々な情報が入手できます。これを、取り纏めたものが、「監査調書」です。
したがって、監査計画で整理した監査項目に沿って、細目まで記録化しておくことが重要であり、すべてが監査証拠となります。

1つの監査で、調書となるものは、予備調査から含めると膨大な量になることがあります。以前は、全て書面で残していましたが、ファイリング量もかなりになり、遡って取り出そうとすると労力がかかります。帳票点検の項目でも述べたように、記録類は、「正確性・網羅性・保全性・有効性」が重要なポイントです。監査記録も同様の視点で整理しなければなりません。そこで、私は、全ての帳票をPDF化して保存しました。年度別フォルダーの中に、業務監査や経営監査など監査区分のフォルダーを作成し、個別監査単位のフォルダーを置いていました。それと同時に、エクセルを使って帳票類のチェックシートを作り、セルリンクすることで必要な書類をすぐに取り出せるようにしましたし、点検も容易になりました。なにしろ、監査対象が100カ所近くに上り、時には同時並行で監査が進むこともあるため、こうした事務管理業務はパソコンを活用して合理化することは当然の事でした。

②所見書作成
調書の整理が終われば、所見書の作成に入ります。
監査における、第1 の成果物であり、監査の有効性を表現するものであり、吟味して完成させることに注力します。
「所見書」には、「監査目的・監査日時・監査対象と対応者・監査項目」を標準とし、「所見」と「指摘事項」を加えてまとめます。

◇所見
・「所見」とは、監査全体を通じた評価意見であり、監査を概括する内容になります。監査対象部署も、まず、この所見を読み、監査全体がどうだったのかを知る手掛かりになる所です。
・私は、「所見」については、1)優れている点(推奨事項)、2)問題点や課題、3)今後に期待する事の3点の順で整理していました。この書き方にしてからは、監査対象部署からの反応も良くなりました。
・そして、結語として「消極的アシュアランス」の文言を付けました。「消極的アシュアランス」とは、監査をした範囲(対象領域)において保証するということであり、対象部署全体でまったく問題がないというものではないという事を表明する事です。文例としては「監査した範囲においては、重大な不正や事業損失に直結するミスや誤謬は発見されませんでした。」という短文になります。言い訳ではなく、事実です。見ていないところまでは保証できないという事は当たり前です。・・これは、代表理事への報告の際に、「〇〇部署は問題なかったかね?」などと質問を受けることがあり、「問題ありませんでした。」と報告すると、代表理事はオールOKと誤解されかねないからです。

◇指摘事項
監査の成果物として最も重要なのが、「指摘事項」です。
監査対象部署にとっては、業務改善やシステム改善につながり、順法管理やマネジメントレベルが向上するような、是正措置や改善策を得る事が、最大の成果なのです。
ですから、監査で発見した事実と問題を基礎にして、その原因(真因)、改善への提案を判り易く表現することが必要です。可能な限り、発見した事実・問題から想定されるリスクを明記する事でより重要性が明確にできます。

この点に関しては、藤井範明先生の著書「監査報告書の指摘事項と改善提案(同文館出版)」を読まれる事をお勧めします。
かなり詳細に、有効な指摘とは何か、その考え方や視点、具体的な書式まで細かく解説されていてとても有効でした。これについては、また、別のところで詳しく解説させていただきたいと思います。

ここでは、3点だけポイントを挙げておきます。
①指摘事項は、発見した事実・想定されるリスク・是正改善提案の3点に分けて、表でまとめると理解されやすい。
②指摘事項の軽重については評価区分を用いると良い。(私は5段階区分:先に述べています)
③可能であれば、内部統制のカテゴリー区分(コントロールマトリクスの項目で述べた事)を用いて分類しておくと、部門単位や組織全体をまとめ、統制評価を行う際に有効。

ただ、最も重要なのは、改善提案や観察事項・不適合事項で評価した指摘事項が、監査対象部署に受け入れられ、具体的な是正・改善の取り組みにつながる事です。

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