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6:実地監査④監査クロージング(20180326) [2-内部監査実施指針]

ヒアリングが終了すると、監査クロージングです。いわゆる実地監査のまとめです。「講評」と呼ぶところもあるようです。

クロージングの目的は、現場点検・帳票点検・ヒアリングを通じて得られた証拠をもとに、指摘事項のとりまとめと合意作りを行う事です。

複数人の監査員で監査する際は、現場視察・帳票点検・ヒアリングの内容を振り返り、指摘事項や所見に関する協議を行います。同じ事業所を監査していても、監査員によって、指摘の軽重は生まれます。しっかり時間を取って調整することが必要です。

したがって、まず、証拠の検証を行います。
証拠は、事実に基づき客観性が確認できることが重要です。現場や帳票については、写真や実物等が明確であるため、証拠としては有効です。一方、ヒアリングの中で、監査対象の回答・発言は、受け取り方によって変わってきます。ですから、回答・発言についてはしっかり吟味することが求められます。曖昧なものは極力排除する事です。
そうして整理した証拠から、指摘事項を絞り込んでいきます。

指摘事項の評価は、法令や内部規程等の基準に照らして行うことが基本です。監査員が感覚的におかしいと感じるものは主観的な判断に過ぎず、合意に至ることができません。あくまで、法令や内部規程等の基準が重要な物差しになるのです。

評価の基準は、それぞれの生協で設定されるべきだと思います。私のところでは、5段階(推奨事項・改善提案・観察事項・軽微な不適合・重大な不適合)の評価を行っていました。

推奨事項は、他の模範となる様な好事例・素晴らしい取り組みとしました。
改善提案は、現状で問題はないが、改善を通じて更に素晴らしい取り組みになるものとしました。
観察事項は、過去に発生した問題事象(現在は発生していない)で現状のコントロール(対策)が有効かどうか判断が難しく、経過を観察する必要のある事項です。
不適合は、基準に照らして明らかな誤り・ミスが確認される事象であり、その中で、プロセス不全により重大な損失につながるリスクが大きいと判断されるものが「重大な不適合」として区分指定ました。

実際の監査では、改善提案や観察事項、軽微な不適合が中心になっていました。
推奨事項は、意識的にみておかないと生まれにくく、監査員にとって苦労するところでした。

こうして、監査を通じて得られた証拠から指摘事項を整理した段階で、監査対応者を呼び、クロージングに入ります。

クロージングでは、まず、監査協力への謝意を述べた後、全体の講評(所見)を述べ、指摘事項の確認を行います。
以前は、クロージング前に所見所と指摘事項を書面にして、クロージングに入っていましたが、しっかりとした書面を作るには時間が不足しがちであり、合意を得る時間が不十分になる傾向にあったため、クロージングでは「監査メモ」を作成することにしました。
「監査メモ」は、要点を列記したもので、クロージングの際に口頭で補強することになります。

クロージングでは、指摘事項の合意が重要です。指摘事項の説明と是正改善要請の内容を説明します。それについて、監査対象管理者からの意見を聞き、合意できたものを監査指摘とします。
客観的事実として有効な証拠があり、監査員による吟味がしっかりされたものであれば、合意は容易いはずです。監査後の是正・改善もしっかり進むと言えます。
指摘事項は、事実に基づき、監査対象との合意を得ること。合意がない事項は指摘できないことに注意し、丁寧に説明し合意を得る努力が必要となります。

指摘事項に関しては、別の項目でより詳細・具体的に解説いたします。

これで、現場監査は完了となります。次は、監査のまとめ(結果の作成)に入ります。
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