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6:実地監査③ヒアリングの要領(20180323) [2-内部監査実施指針]

いよいよ、ヒアリングです。
現場視察と帳票点検で集めた証拠(証憑)はいったん整理して、ヒアリング項目にメモしておきます。

ヒアリングは、私のところでは、概ね、事業所の管理者(センター長・店長・事業所長等)を対象者としていました。しかし、管理者の判断で、副長や副店長、エリアマネジャー等を同席させているところもありました。その傾向は、年々増えたように思います。
一つには、管理者だけでは答えられない、詳細な内容が質問されるためです。
もう一つは、管理者自身が、次期管理者育成のために監査を知ることがマネジメント力向上につながると考えたのが理由だと思います。特に、後者の受け止めが年々増えてきたように思います。

さて、ヒアリングですが、要領は簡単です。
監査項目に沿って、監査対応者へ、質問し回答を得るという事です。

「チェックシート」方式では、網羅的に設定された項目に沿って質問し、回答に基づいて評価(〇[×]や点数化)していくことになります。
「ワークシート」方式では、監査項目について「オープンクエスチョン」(HOW質問)で回答を得て、記録し、その内容を掘り下げていくことに力点を置きます。評価をするのではなく、回答を吟味し、問題がないかを考え、問題があれば真因を追及する「オープンクエスチョン」を繰り返していきます。ヒアリングと呼ぶより、ディスカッションと呼ぶ傾向が強いと考えています。また、現場視察や帳票点検で得られた証憑についても、その中で提示し、確認作業を行います。

少し、言い方を変えてみます。

ヒアリングのポイントは、「問題発見と真因究明」にあると考えます。
そのために、YES/NOの回答を得る質問(クローズドクエスチョン」は避け、できるだけ「どのように?」という質問(オープンクエスチョン)を多用するのです。

実際のヒアリングを少し紹介します。

私は、ヒアリングの順番として、どの事業所でも初めの4つの項目は同じでした。

①方針計画の確認
・ヒアリングの初めは、今年度の事業所方針・計画の概要を説明いただきます。書面調査であらかじめ理解している事ですが、文章では表現されていない思いまでは理解できていません。ですから、管理者自身に語っていただきます。すると、方針・計画に掲げた事と現実の進捗の矛盾点や、方針・計画自体に誤りがあるなど率直な思いが語られるのです。ここにリスクや監査指摘のヒントが隠れている事が多いのです。

②予算進捗確認
・次には、予算進捗確認を行います。方針・計画が予定通り進捗していれば、当然、予算は達成しているはずです。しかし、現実はそれほど甘くありません。直近の決算書を見ながら、達成状況を報告いただくことで、管理者自身が問題点を気付くこともあります。
・予算進捗の確認は2つに分かれます。一つは、供給高や供給剰余等、収入に関する部分。そして、経費執行に関する部分です。
・収入(事業高・事業総剰余)に関わる部分では、実施計画(仲間作りや利用者拡大・商品普及・GP設定など)の取り組み状況を深めていきます。予算未達成であれば、方針計画は正しかったのか、実施計画に問題はなかったかを深めることになります。
・経費執行に関しては、人件費と物件費に分けて深めます。人件費の執行状況で予算との乖離が大きい場合、人事上・労務管理上の問題がないかを考えます。採用が進んでいない、途中離職が多い、残業業時間が長い、等、マネジメント上の課題がそこには隠れているはずです。物件費に関しては、費目細目で見ていく必要があります。著しい予算乖離や前年との差などは、予算設定上の問題が隠れていることがありますし、事業所だけでなく、部門全体の問題という事もあります。
最終的に、事業所損益がどうなっているかを検証します。そして、損益改善のための課題について管理者とディスカッションできればほぼ目的は達していると言えます。

③コンプライアンス点検
コンプライアンス基本規程・順法管理規程に基づき、各事業所で適用される法令は一覧化されていましたので、これを用いました。ここで、帳票点検・現場視察で得た証憑を活用します。概ね、どの管理者も、「法令違反はない」という認識を持っています。しかし、実際には細部で問題は起きています。理由は、業務都合優先の意識から「まあいいか」という認識が生まれ、例えば、消防訓練が未実施(消防法)だったり、作業前の体操(安全衛生法)が行われていなかったり、名簿がカウンターに放置(個人情報保護法)されていたり、ちょっとした意識の低下から違反事象が生まれるわけです。是正要求は単純(禁止や徹底実施)に見えますが、実はかなり厄介です。法令順守の意識向上がカギですが、これは一朝一夕には進みません。じっくり話し合う必要があります。

④リスク認識確認
・組織全体の重点リスク、事業部門リスクは、内部統制委員会で策定されていますので、まずはその項目への対応を確認した後、事業所固有リスクについてヒアリングします。管理者の抱える不安や課題意識が率直に確認できます。そして、それが、「①方針計画の確認」ときちんとリンクできているかを検証します。リスクが高いと認識しながら、何の対策も取られていないとすれば、指摘事項となります。その要因を追及することで、事業所内マネジメントの改善や、内部統制システム改善の手がかりになるわけです。

方針計画の確認、事業進捗点検、コンプライアンス点検・リスク認識確認の4点は、監査の入り口として考えます。
実はここまでで、ヒアリングの半分の時間を要するケースもありました。

このあとは、各事業の特性とリスク評価を踏まえた「重点的なヒアリング」に入ります。
各事業のポイントは別の項目で述べたいと思います。
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