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6:実地監査①現場視察(20180321) [2-内部監査実施指針]

実地監査のパーツを分けて解説します。

最初は、「現場視察」です。

宅配事業センターや店舗、福祉事業(通所・入所等)等の事業所は、現場作業・業務があります。また、施設・設備・計測機器・マテハン・車両など様々なインフラを使用します。
ISO9001(品質MS)の規格で言えば、「7章:支援 1.資源」に入る領域です。
これらが適切に管理されているかを自らの目で確認することが現場視察の課題です。ですから、メモ(記録)と写真は必須です。異常を発見したらすぐに写真記録することが必要です。

視察時の着目点として、以下のような事が想定されます。
1.法令順守の領域として
①労働安全衛生の視点ー作業の安全措置・危険防止などの対策(手袋の着用や安全靴等も)
②消防法の視点ー報知器や消火器・防火シャッタ―などの設置と有効性
③食品衛生の視点―冷蔵冷凍設備の温度管理・作業場所の清掃・衛生管理・手洗いなどの実施
④環境法令の視点―産業廃棄物処理・フロン対策・危険物管理等、法令要件への準拠
⑤道交法の視点―車両の安全措置・点検管理・整備・清掃
⑥個人情報保護の視点ー書類管理・パソコンデータ管理

2.業務の効率性・合理性の視点
①事務所内の整理整頓-書類やデータ保管状況
②導線チェックー不要な作業導線の有無

3.資産保全の視点
①施設・設備の修繕や更新の実施状況
②固定資産台帳による資産点検―主要な資産が適切に計上されているか、廃棄処理手続きも含め

このような視点を持って、スピーディに点検していくことになります。
もちろん、運用ルールが不明なものもあると思いますが、それは現場で確認します。その際に、適切に回答できないようなことがあれば、ルールの教育が不十分と考えることができます。

作業導線や安全作業の確認には、実際に目の前で行ってもらう事もあります。正しい作業マニュアルが教育されているかも確認できます。

宅配事業センターは、ある程度、システム化されていて点検しやすいのですが、店舗は大変です。
特に、私のいた生協では、「開店時の品揃え」へのこだわりが強く、早朝作業が多くなり、開店前の1時間は、戦争の様な騒ぎになっているところもあって、落ち着いて点検できる状況ではありませんでした。
その回避策として、私は、店舗監査とは別に、売場点検活動を年2回集中して行っていました。監査とは別日程で、全ての店舗の売り場・全アイテムとバックヤード・加工場を点検するのです。これが意外に店長から高い評価を得ました。(本来、店舗事業本部から売場指導の役割を担うべき職員が配置されているはずで、なかなか機能していないのが悲しいですが)

福祉事業所では、特に通所介護(デイサービス)の現場視察には力を入れました。詳しくはまた、福祉事業監査の項目で述べますが、重要なのは、法令順守(介護保険制度・消防法・食品衛生法など)だけではなく、介護事故防止策の有効性点検です。
健常者にとっては何でもない段差やドアの開閉等も、高齢者や障がい者にとって問題がないかという視点で見る必要があります。もちろん、開設当初に、安全性確認はされているでしょうが、経年劣化による問題が見過ごされているケースもあります。
また、福祉事業はなかなか黒字化が難しいため、修繕したくても投資計画が承認されず、放置せざるを得ないような事例もあります。こういう事例には、内部監査がしっかりと指摘し、事業本部への働きかける役割が発揮できます。
現場視察の際には、利用者の感情を害さないよう細心の注意が必要でした。

どの現場でも共通していたのは、施設・設備・計測機器などの管理(保守点検)は、予算執行・事業所損益確保の課題の中で、管理者としては頭が痛い問題だということです。修繕したくてもできない、更新したくてもできない、壊れているけど先送りしている等、管理者自らが修繕計画を申請するのを躊躇う傾向をもっているのです。
ですから、内部監査として、しっかりの問題点を指摘する事で、実のところ、管理者は「内部監査の指摘があった」という理由をつけて、申請に踏み切ることができるというのも正直な思いだと感じました。

しかし、「作業点検」に関しては注意が必要です。
宅配センターや店舗・福祉事業等、様々な作業があり、主要な作業は手順やマニュアルが整備され、教育訓練も進んでいます。製造工場のように、何人もが同じ作業を行う場合、極めて重要な事です。ISO9001でも「第7章 支援 2:力量」の項目でその管理方法や評価方法を定める事が要求されており、業務の品質維持に大きな要素となっています。
しかし、人は機械ではありません。同じことを教育訓練されても、日常作業の中で「自己流」に陥りやすく、その結果、重大な事故につながります。安全運転との共通する視点です。
こうした多様な作業をどこまで点検できるか。悩ましい処でしょう。
私は、作業点検では、「リスクベース」視点を重視します。一つの作業プロセスの中で、重大な事故につながるリスクの高い箇所に絞って、現場で実地で確認するのです。
店舗で言えば、惣菜加工の「揚げ物作業」(やけど事故)や、鮮魚加工の「大型魚のカット作業」(刃物による事故)とか、宅配センターでは、出庫作業のドーリー片付け(転倒事故や接触事故)や、ドライアイス投入作業(冷凍やけど事故)といった具合です。前年度の労災事故記録から、頻度の高い事故を念頭に置いて点検する事でリスクを低減するのです。

少し長くなりましたが、現場視察もこうしてみると、すでにかなりの指摘すべき事項が浮かんでくるのではないでしょうか?


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