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3:予備調査の実施②経営情報・KPI(20180312) [2-内部監査実施指針]

予備調査の続きで、もう少し個別の内容を解説します。

経営情報分析は、いわゆる決算情報の分析と評価の事です。監査実施前の直近の決算書を用います。ここで重要なのは、「予算管理システム」の有効性の評価です。
それぞれ事業所は、予算に基づき執行される必要があります。
経営上の評価では、時に、事業所の直接剰余や経常剰余に偏って評価しがちですが、そもそもの予算はどうなのか、予算に基づいて事業目標を達成し、経費予算内で執行されているかが統制上重要なのです。
その結果、直接剰余や経常剰余も予算との比較でどうなっているかを見ておく必要があります。
経営評価では、直接剰余や経常剰余或いは税引き前剰余が最重要ポイントになりますが、例えば、供給高が予算を割り込んでしまっていても、経費を大幅に削減することで直接剰余を確保すれば、経営上問題にはなりません。しかし、内部監査では、なぜ供給高が大幅に割り込んでいるのかの真因を探る必要があります。また、大幅に経費を抑制した場合、例えば、本来施設修繕のための物件費予算があったにもかかわらず未執行としたという事になると、労働安全衛生上の問題や資産管理上の問題に発展するリスクが高くなっているのではないかと考えなくてはいけません。その逆に、供給高(事業高)が予算を超過し、事業上よが大幅に予算を上回っていて、ついつい経費面でルーズになっているという事もあります。
どちらのケースでも、コントロール不全の顕在化と判断し、是正すべきポイントになります。こうしたことを経営情報の分析では特に力を入れていくことになります。

決算結果は、コントロールやマネジメントの結果を示しています。予算との乖離が著しい項目があれば、それに関連するマネジメントの不全を疑うことが監査の視点として重要です。

KPI分析は、主要な指標を使った分析の事です。
KPIデータ(キーポイントインディケーター)は、事業や組織でかなり違いがあり、管理部門の機能と密接に関連してきます。
例えば、人事総務部署では、人事労務上いくつもデータを持っています。労働時間もその一つでしょう。他にも、休日取得情報とか、労災事故などもデータ化されているでしょう。
経理部門では、未収金のデータや動態・出資金(増資・減資)情報、小口現金処理情報などもあるでしょう。
こうした管理部門で、モニタリングしている情報を切り出して、部門単位で並べて比較することで、事業所単位の管理レベルが判定できます。管理レベルに低い事業所をピックアップすることで監査項目の重点が絞れます。
また、こうした管理部門のデータを収集する事は、監査対象部署の分析だけでなく、そのデータの質・正確性等を見ることで「管理部署の機能評価」もできます。
事例として、労働時間管理データを分析しその結果を現場で検証すると、かなりの誤差が生じてきているとした場合、管理部署の情報管理レベルに問題はないかと見ることになります。それが、多くの事業所で見られるとすれば、明らかに時間管理システム(プロセス)の欠陥であり、内部統制上の重要な是正課題と考えることになります。

予備調査は現場監査の準備活動に留まらず、内部統制システムの妥当性・有効性評価にも使えるという事で、一石二鳥の取り組みでもあるわけです。

もうすこし、予備調査の解説を続けましょう。
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