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3:予備調査の実施③内部統制自己評価票(20180313) [2-内部監査実施指針]

予備調査の一つで、書面による情報収集があります。
監事監査でよく見られる方法で、いくつかの質問項目に対して、監査対象部署からの回答・報告を入手して、事前に検討しています。内部監査でも同様の手法は有効だと思います。
私は、これを「書面調査」として実施していましたが、実は、監査対象部署にはかなりの負担になっていることがわかりました。また、質問内容が不明瞭で、何度もやり取りすることにもなりかねず、結局、年度方針や月次進捗報告などは、イントラネット上で入手できるため、途中でやめました。

これに代わって実施したのが、「コントロールセルフアセスメント(CSA):内部統制自己評価票」でした。仰々しく述べていますが、実は、これは、前任の内部監査担当が用いていた「監査チェックシート」の流用です。
前任の内部監査担当は、「監査チェックシート」評価を主にした監査を行っていました。チェックシートによる監査については別の項目で述べたいと思いますが、網羅性や監査深度の均一化等には有効な手法ですし、未熟な監査人には便利なものです。

これを見た時、これなら管理者自身がチェックすればいいじゃないかと思ったわけです。ただ、もっと有効に使えないかと考えて、先に述べた「コントロールマトリクス」の発想を加えました。

始めの年は、50項目くらいでしたが、何か歪な設問が多く、何度も何度も見直しをかけました。
結局、最終的に出来上がったものは、内部統制システムを構成するプロセス単位(予算管理・人事管理・労務管理等々)の17パーツに、5項目程度の設問(統制環境・リスク認識・統制活動・情報と伝達・モニタリングの視点で)を設定し、さらに事業部門ごとに8つほどのパーツを加えて、全体では125項目の設問に対して、4段階評価を行う形になりました。

開始当初は、事業所管理者から不満の声もありました。なにしろ125の項目を読むだけでもかなりの時間を要するわけですし、それを自己評価するなど慣れていなかったからです。
しかし、導入して3年目に変化がありました。
新任管理者にとって知っておくべきことが網羅できているとの評価をいただくようになったのです。また、「管理者研修では教えられない内部規程・基準・手順の理解が進む」とか、「自分の弱みが判ってマネジメントの改善につながる」といった声を聴けるようになりました。
実際、監査の際に管理者から自らの弱点に関して、克服するためのアドバイスを要請される場面も増えました。単に監査の予備調査のレベルを超えた副次効果があったのは驚きでした。
また、これを全事業所管理者で実施したことで、100を超えるデータとなり、集計分析することで組織の課題や傾向分析にも役立ちました。監事会からも高い評価を得ました。

話を戻しますが・・・
この「内部統制自己評価票(CSA)」は、個別にみれば、監査重点の絞り込み情報になります。監査対象部署管理者の弱点から、リスクの高い「管理プロセス」を絞ったり、マネジメント弱点(統制要素)を知ることで、より丁寧にヒアリングを行うことにつなげます。ここでも、「リスクベース」の考え方を用います。


これで、対象の概要を把握するための、書面調査・経営情報・KPI・内部統制自己評価までの情報収集と分析が終わりました。
いよいよ、次は、予備調査の最終段階、「リスク評価」です。
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