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12 法定監査との連携(20180427) [2-内部監査実施指針]

 

日本内部監査協会:内部監査基準9.0.1 

わが国の法律に基づく監査制度としては、金融商品取引法による公認会計士または監査法人の監査、会社法等による監査役または監査委員会の監査、会計監査人の監査、民法による監事監査、地方自治法による監査委員および包括外部監査人の監査、会計検査院の検査等々がある。これらの監査は、内部統制の適切な整備・運用を前提としている。

内部監査は、法定監査の基礎的前提としてのガバナンス・プロセス、リスク・マネジメントおよびコントロールを独立的に検討および評価することにより、法定監査の実効性を高める一方で、必要に応じて、法定監査の結果を内部監査に活用しなければならない。これによって、内部監査と法定監査は相互補完的な関係を維持することができる。

 

l  監事監査と会計監査、内部監査を三様監査と呼びます。法令根拠を持つ監査(法定監査)は、監事監査と会計監査であり、健全な経営・運営を保証するものです。

l  監事監査の対象は、代表理事・理事会であり、経営全般を領域としています。

l  会計監査は、決算の適正性を保証するものですが、近年、監査法人による監査の中で、「内部統制システムのプロセス評価」も含まれるようになっています。

l  内部監査は、法定監査の実効性を高める役割を持ち、監事(会)・監査法人(会計監査)との連携を進める事は、内部監査の成果をさらに高める事に繋がります。

 

l  具体的な実施例

     定期報告会

       監事監査として、「内部統制の整備状況の評価」を行うに当たり、内部監査の報告を求められる。定期報告会として、内部監査の年次計画の確認と結果の確認などで、年間1回・2回等の開催で実施される。

     三様監査会議

       監事会が主催し、会計監査(監査法人等)と内部監査を招請し、監査情報の共有を図る機会として実施。

     常勤監事懇談会

       日常的な連携として、内部監査と常勤監事の懇談会の実施。月次定例や不定期開催で、情報交換。

 

三様監査の連携には、監事(会)が主導的な役割を発揮します。

内部監査としては、代表理事への報告と同時に監事(会)への報告の場を確保することで、仮に、代表理事に関わる重大な事案を発見した場合にも適正な対処が可能になります。また、内部監査を通じ、経営上の課題や問題を発見し、代表理事の対応が不適切と思われる場合、監事(会)への報告ラインを保持しておくことで、監査結果の有効性を高める事ができます。

 

■私の経験から

内部監査着任当初は、監査室長が常勤監事と面談していたようですが、2年目に入り、一人体制となった時、常勤監事との関係についてなかなかイメージできませんでした。

 

そんな時に、常勤監事から定期報告の要請がありました。前任の内部監査室長も、内部監査計画と内部監査結果の報告を行うようになっていたようで、とりあえず踏襲することにしました。

 

その時、常勤監事から要請されたのは、年次内部監査計画の提出・半期の報告・年間の報告でした。監事会のスケジュールに沿って、6(総代会後)に年度内部監査計画の確認、11月に半期報告、翌年5月に年間報告という形でした。内部監査のスケジュールとは3ヶ月ほどのずれが生じていました。

 

初めての報告では、何処まで報告すべきか判らず、代表理事(専務理事)へ報告したものをそのまま報告しました。監事会としては、前年度(前任者)報告と比べ、膨大な量の報告となっていたことに驚かれたようで、常勤監事も少し困惑されていました。

 

その後、幾度か、常勤監事と話し合いを持ち、内部監査報告を定期化する事とし、月次報告を代表理事と常勤監事へ同時期に行う事、年間では、監事会との3回の定期協議会の開催を行う事にしました。こうしたことで、内部監査の業務は代表理事と常勤監事の両方にしっかり報告できるようになりました。(ダブルレーポーティングラインの確保)また、内部監査の結果に関して、常勤監事から大変有効な示唆をいただく機会にもなり、監査に当たってのものの見方や指摘の在り方、あるいは経営層の認識や問題などもご教示いただき、さらに深い監査へのエネルギーになりました。

 

常勤監事(監事会)としても、内部監査の報告をもとに、監事監査の対象や重点などに活用されていましたし、内部監査の指摘事項に対する経営層の対応・対策の実施について、より現実的な監査に進むことができているとの意見もいただきました。

 

4年目には、監事会と監査法人(会計監査)と内部監査の三様監査ミーティングを年3回開催することになりました。それまでも、監査法人からは、会計監査で発見した誤謬や不備に関して、個別問い合わせはありましたが、公式の情報交換の場はありませんでした。定期ミーティングを持つようになり、さらに情報交換の機会が増え、情報の共有や問題事象へのアプローチについて調整を行うなど、有効性は高まったと思います。

 

もっとも助かったのは、経営管理部や経理部を対象とした業務監査に際して、監査法人監査で発見された誤謬や不備を予備情報として活用できたことです。私にとっては、経理や経営領域は、専門性が高くシステム化されているため、なかなか取り組みにくい領域でしたが、監査法人の結果を活用する事で、業務プロセスに力点を置いた内部監査ができることは有効でした。ある意味、監査法人を「ピアオーディット」として活用した事にもなると思います。

 


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