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4:監査ワークシートの作成(20180315) [2-内部監査実施指針]

予備調査が終わると、次に、監査ワークシートの作成(監査前準備)に入ります。

「ワークシート」は、実地監査(往査)に向けて、監査手続きや監査手順、ヒアリングの際の質問、現場や帳票点検の方法などをまとめたものです。
監査に許される時間は限界があります。より確実に有効に監査するためには、重点的にヒアリングや点検を行う項目を整理しておくことが必要です。
そして、監査重点となる部分では、想定されうる事象や問題について熟慮し、想定される原因・真因と改善提案についても検討しておくことが肝要です。

私のワークシートは、個別監査計画の「監査項目」を大項目として、次に内部統制の6つの要素を中項目に置いて、小項目に、ヒアリング時の質問と照合する帳票や証憑を記載していました。ヒアリング時の質問は、「オープンクエスチョン(HOW)」が中心で、その結果を証憑提示してもらう事で検証する形をとっていました。

例えば、宅配事象センター監査で見てみます。
大項目:事業進捗点検(予算管理プロセス)で考えると
中項目では
 ①予算作成過程-予算策定の指標はどのようなものを使ったか?・・予算作成シート検証 
 ②予算実績評価-直近決算の結果をどう見ているか?・・供給高や経費執行・予算比や前年比
 ③運用管理-センター予算達成のためのマネジメントはどうしているか? 
 ④月次・週次進捗監視-結果の監視はどのようにしているか?
 ⑤予算乖離事象-予算乖離(不足や超過)は起きていないか?その理由はどういうものか?
 ⑥年度末達成見通しと対策-年度見通しと具体的な対策はどうなっているか?
*予備調査の段階で、概ね答えは出ていますが、改めて、管理者の認識を確認するため、「HOW」の質問で検証します。予算乖離の事象もわかっていますが、その原因がどこにあるかを見つけるためには、予算策定段階や日常マネジメント・監視はどうか、有効な対策を持っているかなど、①~⑥の設問を行ったり来たりして深めることになります。

他の監査項目でも、同様の深め方が想定できますね。これを監査項目ごとに作成しますので、監査の進め方(シナリオ)が頭の中でほぼ固まってきます。
宅配事業や店舗・福祉事業では、同様の事業所運営スタイルを持っているため、事業部門単位で概ね同じパターンで作成しておいて、事業ごとの特性・課題を入れこんで部分修正する事で、効率よくワークシートを作成することができます。
重点を置きたいところを色で塗り分けることも有効です。あるいは、色を変えたテキストとか、パソコンの機能を有効に活用することで、作業の合理化は進めるべきです。
私は、こうした作業について、エクセルを活用しています。別の項目で詳細は述べたいと思いますが、一つの監査で、9種類ほどの書類が作成されます。すべての書類を間違いなく作成できるようにするために、一つの監査に一つのエクセルファイルを作成し、セルリンクを活用して同じ記述部分を繋いで省力化を行っています。これも一つの監査業務合理化のコツと言えるでしょう。

◆チェックリストとワークシートの違い
従来の監査の手法として、「チェックシート」を持ちいることがありました。
ISO監査では、チェックシートは必須とされています。
監査項目に照らして、いくつかの設問が策定され、〇[×]の評価や点数評価を行うのが一般的です。監査の標準化ができるとともに、網羅性を確保できる点で有効な方法ですし、結果を採点・数値化することも可能で、傾向分析にはかなり役立ちます。経験の少ない監査人・監査員制度の運用などではこの方法が入りやすく有効と言えます。

一方、ワークシートは、「監査シナリオ」とも言われ、監査時のヒアリングの進め方を整理しているものです。質問事項と照合すべき帳票・証憑を事前に記載したり、予見される事象の真因や改善提案まで記載します。実際の監査では、一つの問題事象が発見されるとそれを深堀することになり、予定時間ですべての項目を監査する為にはかなりのスキルが要求されます。

健康診断と人間ドックの違いを想定すると判り易いかもしれません。
チェックリストによる監査は、一般的な健康診断(項目が決まっていて、指標に照らして評価する)と言えます。看護師や検診センター技師での検査が主になります。
ワークシートによる監査は、人間ドックあるいは2次検診(精密検査)と言え、あらかじめ問題がありそうな部位へ高度な検査方法を用いて判定し、必要であれば追加検査を行うという形です。医師や専門の検査技師を必要としますね。
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