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マニュアル作成と業務プロセス① [7-マネジメント]

今、職場の業務マニュアルの見直しと新規作成を手掛けています。
現在の職場で1年ちょっとが過ぎてようやく業務全体が見えてきて、これまでの業務マニュアルを見てみるとこれがかなり酷いことが判りました。以前に作成したのは、5年ほど前。当時の所長が作成者となっていました。正直、これを見た時、当時の所長は、業務マニュアルの必要性を全く感じていなかったんだろうと思えるほど稚拙で穴だらけ、それをそのまま使っていたと考えるとぞっとします。
ただ、これまで大きな問題やリスクが顕在化しなかったのは、一人一人の職員(相談員)が、専門職としてのスキルを身につけていて、マニュアルなど使っていなかったためだと思います。現に、今でも、専門職の皆さんは、自分流のやり方を貫いていて、「唯我独尊」的な仕事の仕方をしているところを強く感じます。・・職人さん集団とも言えるでしょう。
ただ、中には若い職員(専門職としてこれからスキルアップしなければならない)もあり、業務の標準化やプロセス管理をしっかりしていかなければ、組織としての力量は保てませんし、次世代の育成は進みません。
今の所長は、そうした職場課題を意識して、業務マニュアルの整備を進めようとしています。

自分自身は、内部監査時代に、各所で業務マニュアルを監査基準の一つとして、実際の業務が適切に実施されているかを検証する立場であり、マニュアル作成の経験はQMS/EMS(品質と環境マネジメントシステム)構築の際に携わった範囲でした。

業務マニュアルの作成に当たって、いくつか留意している点がありますのでご紹介します。

今回は「プロセス管理」の視点です。

 業務(仕事)は、単独では存在しません。一つの業務には、必ず、次の業務が存在します。
 例えば、電話受付の業務から、次は顧客対応へ、顧客対応から発注・受注プロセス、製造プロセス、納品プロセス、会計、経理、決算・・入口から出口まで見通したうえで、細分化して捉えたものが、一つのマニュアルとなるという視点です。

 私の職場では、電話受付(相談受付)[→]相談支援(面談・面接)[→]関係機関調整[→]福祉サービス利用[→]モニタリング[→]行政報告といった具合になります。
 こうしたプロセス全体を理解すると「電話受付」業務が、どんな成果物を要求されているか判ります。すると、次のプロセスが必要とする成果物を間違いなく作る事ができるための「マニュアル」でなければならないということが判ります。極めて重要な業務なのですが、
 今あるマニュアルには「2回コールで出る。」「お電話ありがとうございます。○○の○○です。」と答える。など、まるで子どもへの躾のような記述が続き、「メモを取る」「メモを渡す」で終了しています。取次さえできれば良いというレベルのマニュアルなのです。
 相談支援(インテーク)へつなげるために最低限どういう情報が必要なのか、という視点で再構成しなければなりません。

 そう考えると、「2回コールで出る」とか「○○の○○です。」と答えるなどという今のマニュアルが、如何に稚拙か判ると思います。これはむしろ、ビジネスマナーのレベルであり、そうした事をマニュアル化しなければならないと認識していた、前職は、職員をかなり馬鹿にしているとしか思えないのです。


 「次の業務プロセスが求める成果物を確実に作成する」という視点で、業務マニュアルを見直してみてはいかがでしょうか?

 ちなみに現在作成中の「電話受付マニュアル」では、「聞き取りのポイント」を明示しています。氏名・電話番号(ディスプレイ表示あり)・住所などの基本情報に加え、要件(主体者・主体者との関係・主訴・依頼要件等)を明示しました。そして、それに基づき、記録化(システム入力)と報告までをマニュアルに盛り込みました。

 
 そう言えば、今から40年近く前、私が就職した時、新人研修の一環で、総務部研修というのがあって、1日電話の前に座って、コール2回で取って、「お電話ありがとうございます。○○生協の○○です。」という訓練がありました。ただひたすらそれをやり続ける、もはや拷問です。今なら「ハラスメント」と言われかねない。新卒採用者はそれほど社会通念上必要なマナーが身についていなかった時代の遺物だと思います。
 ビジネスマナー研修でも、時々、時代錯誤の内容もありますので注意が必要でしょう。


 次回以降、業務マニュアル作成に関して、リスクマネジメント視点、PDCA視点、そして、マニュアルの有効性を高める工夫などをご紹介していきます。

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