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アドバイザリー機能について② [3-内部監査参考情報]

くらしのサポート事業へのアドバイザリーも、ほぼ同様でした。

ただし、くらしのサポート事業部に関しては、経理部から未収金(業者入金分)の処理に関する問題がサポート事業部長宛てに提起されており、その改善に関して部長自身、全く対応できないという恥ずかしい状況が生まれていました。当然、内部監査の定期監査でもこの点を追及することになり、トップへの顛末が報告され、トップからの指示で、アドバイザリーとして入ることになったものでした。

 

くらしのサポート事業は、旅行事業・チケット販売事業・通販頒布事業・文化事業・葬祭事業等、多様な事業を実施しており、先の住宅事業とは違った難しさがありました。

例えば、多くの事業が、外部業者との委託関係で成り立っているため、生協内部のルールだけでは成立しません。外部委託先は、月度決算日が月末というところが少なくなく、生協の締め日とのずれによって発生する問題もありました。

 

また、チケット販売事業では、買取チケットと置きチケット・利用実績(優待)チケット等、個別に扱い実績の違いがあり、計上方法が細かすぎて管理不能という状況でもありました。現在取り扱っているチケット類を一覧化し、区分(買取・置き・優待)分けするとともに、月次計上のルールも整理。一部では在庫棚卸の実施要領も確定させるところまでアドバイスすることになりました。

 

通販頒布事業では、途中キャンセルの処理方法が曖昧で、一旦事業高計上したものが後日取り消されることもままあり、結果的に事業高計上に誤りが生じている事も判りました。そこには、未収金という考え方がなく、結果(通販頒布実績)を追う事で返品に対するルールができていない点を指摘し、未収金計上ルールを適用することをアドバイスしました。

 

葬祭事業では、葬儀実施期日で、事業高計上を行うことにしていましたが、実施業者(葬儀社)が1社は施主支払い後の社内計上後の計上という実態にあり、月ずれが頻繁に起きている事も判りました。墓石斡旋においては、2年がかりというものもあり、計上されているかどうかさえあやふやな状態になっていました。

これらの問題一つ一つを解しながら、計上ルールの確認と手順整備を行いましたが、根本的な問題として、こうした、個別事業の独自のルールを包括して認識している担当が居ないということがありました。

当時、くらしのサポート事業部は、部長1名、担当2名、パート4名という体制でした。部長は、こうした、事業内部の処理ルールは理解しておらず、担当者が提出する月次報告(事業高計上)を、予算に照らしてどうかという判定だけして、押印し経理部へ送付するというお粗末な状況でしたので、提出された数値が正しいかどうかは担当丸投げという状況でした。結果的に、事業高計上後の未収金処理(外部業者からの入金点検)で、大きく誤差が生じ、回収不能な未収金が長年発生していたわけです。

経理部でも、未収金と入金の照合プロセスはありましたが、良く調べてみると、未収金計上された業者名と入金業者名が異なる事例が幾つか発見され、あろうことか「金額を頼りに」未収金処理(取り消し)を行うという粗末な状態でもありました。これでは、何が正確な数値なのか判りません。この問題にぶち当たった時、私は経理部課長と一緒に、過去2年くらいの数値を追い続け、結果的に回収不能金の存在を特定するに至りました。(この件は、ちょっと厄介なのでこれくらいで・・経理部長の責任問題にもなりますし、現在もその方はいらっしゃいますので)

 

いずれにしても、事業部門(現業)では、時として、「イケイケどんどん」の体質が強く、経理処理・決算処理に関して、スキルも経験も低い職員が管理者(課長や部長)になるようなところがあり、細かい点まで「正確性」を求めることは予想以上に難しい事なのかもしれません。だからこそ、内部監査部門が、アドバイザリー機能を発揮して、不十分な点を明確にして、必要な措置を講じるまで見届ける事が必要なのだと思います。

そして、こうした内部監査によるアドバイザリーによって、次期管理者の育成も目指していくことが重要なのではないかと考えます。丁寧に業務を把握し、適切なルールや手順を検討し、ヒントを与え考えさせることは、マネジメントの基本と通じるとこがあります。だからこそ、次期管理者層とがっちり組んで、部の立て直しを図る事ができればそれだけで十分組織貢献になるのではないかと思います。

 

対象となる事業や業務に精通していなくても、いや、精通していないからこそ、目の前で行われている業務が、上から下へ水が流れる如く、さらさらと流れるようなフローになっているか、そして、その流れの途中に、監視・点検するところがあるか、そういう視点で俯瞰して見る事。そして、流れがよどんでいたり渦を巻いていたりするところを見つけた時、どうすればすんなり流れていくかを一緒に考える事が、内部監査人に必要な資質だと思います。

業務監査では、その視点の中で「問題点」を指摘し、改善指摘を行う事になりますし、アドバイザリーでは、ともに考え解決策へ当事者を導くことが役割なのだと思います。

そうすれば、内部監査は、働く職員にとっては大きな味方になりますし、経営者にとっては経営を支える重要なポジションであることを理解いただけるはずです。

 

今、とあるNPO(特定非営利団体)のお手伝いをさせていただいております。NPOとしては、割りの大きな所帯で、介護保険事業やたすけあい、子育て支援、若者の縁結び等、地域の協同を構築するためにできることを手広く展開しています。しかし、運営面では、まだまだ未整理部分が多く、ボランティア精神(自主的自覚的な心意気)に支えられています。個人技の上に成り立っているところも多く、今後、活動をさらに広げていくためには、マネジメントの強化が必須になっていると考えています。これまでの経験を生かし、高いボランティア精神を如何なく発揮し、より合理的で有効な活動を構築できるよう、自らも学びながら取り組んでいきたいと考えているところです。


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