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「労務監査」の勧め① [5-監査事例]

 皆さんのところでは、人事労務の領域について、どのような監査をされているでしょうか?

 

 私は、着任2年目に外部研修で「労務監査の実務講座」を受講し、実践してきました。

 ちょうど、この時期に、長時間労働やメンタルヘルスによる休職が増加、新規採用者の離職増加など、人事労務上の課題が大きくなってきた背景があり、トップの懸念事項にもなっていました。

 

 ただ、人事・労務には専門領域が多く、生半可な監査は出来ません。そこで、人事部長にも相談して、社労士による外部研修を受けることにしたのです。

 

 外部研修では、社労士の方が講師となって、労務監査の背景・プロセス・ケーススタディ・監査範囲と監査項目手順等のパートに分けられており、非常に判りやすく、受講することができました。

 今回、その内容をベースに、私が取り組んだ「労務監査」をご紹介いたします。

 

2012年当時、すでに、大手チェーン店で「店長の過労死」や「残業代未払い」「アルバイトへの不当な契約」など、いわゆる「ブラック企業」という言葉が新聞紙上を賑わしていました。係争案件も増加しており、多くの企業で対応に追われる実態が見られました。

生協においても、前述のとおり、長時間労働やメンタルヘルスによる休職者の増加、労基署による立ち入り調査対応などもあり、人事労務管理の立て直し・強化が喫緊の課題と考えられていました。

こうした背景を持って、労務管理に取り組みました。

 

しかし、労務監査の対象範囲は広く、労務管理・人事管理・福利厚生・安全衛生・雇用契約・教育研修・モラール・給与・社保手続きなど、数多くの管理プロセスを持ち、さらに、採用前(募集段階)から退職後までの期間に及ぶものです。

これらすべてを対象とした監査はかなり大掛かりになり、一人体制では到底太刀打ちできるものではありません。そこで、研修で得た知識を活用し、シンプルに重点的で効果的な監査を目指すことにしました。

 

-労務管理:日本人材育成協会HPより一部抜粋-

労務管理とは一言で言えば「労働者・人材の有効活用」という事です。

「生産性を上げる事」「利益を上げる事」「商品を開発し社会に還元する事」等、企業としての目標を達成するために、労働者にやる気を出して働いてもらうことを目的とした人材の活用を意味します。

 内容については、労働者の募集、採用に始まり、配置、異動、教育訓練、人事考課、昇進、昇給、賃金や労働時間の管理等、退職に至るまでの一連の流れを適正に管理する事です。

 

(1)労務監査の視点

労務監査に取り組む時の視点として「5+2」の視点がある事を学びました。

①LC(リーガルチェック:遵法対応)

・この点は専門家の協力を得て行う必要があり、最初は就業規則の洗い直しから。記述内容がすでに労働基本法などの労働関係法に抵触するようなものが横行している実態がある。顧問弁護士とも意見交換しながら進める。

 

②RM(リスク・マネジメント:危機管理・トラブル回避・訴訟対応)

・費用発生リスク・訴訟リスク・行政処分リスク・風評被害リスクの視点で、人事労務に内在するリスク分析を行う必要。それへの備えがどこまでできているかを監査する。

 

③ES(エンベロイサティスファクション:従業員満足)

 

④CS(コーポレートサティスファクション:企業満足)

 

⑤SS(ステークホルダーサティスファクション:株主満足)

 

CP(費用対効果)とCD(費用削減)

・上記①から⑤までの視点に対して、労務管理の実情を分析し、予防対策に打つ費用や損害賠償などの発生費用のバランス(コストパフォーマンスとコストダウン)を見て指摘・提案につなげる。

 

     特に、重視したのは、LCとRMでした。法令順守は当然の責務であり、リスク・マネジメントは内部統制・組織統治の原点だからです。また、監査に当たっても「リスクベース監査」の展開にはリスク評価は欠かせません。

     ES/CS/SSの3点。これは、監査人の立ち位置に関係する事項と理解しました。従業員・経営者・株主の期待(満足)のどこに重点を置くか。生活協同組合という組織において、もっとも重視されるのは何かという事と、内部監査人に何が求められているかが重要です。労務管理の領域においては、3者満足を満たす事が大事だと思います。研修会の講師(労務管理士)は、企業満足(CS)を軸に進めるべきと強く提唱されていましたが、おそらく、バックグラウンドの違いによるものが大きく、生協という組織体では少し違うのではないかと思います。


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